
世界中には、テロリストの恐怖は勿論、危険が充満しているのだが、アンドレス・オッペンハイマー著「米州救出」によると、世界で最も暴力的な地域は、南米だと言う。
アルゼンチンのビリャス、ブラジルノファベーラ、カラカスのセロス、そして、メキシコシティのシウダデス・ベルディーダス。高い貧困率は、不平等と金持ちや有名人の生活を地域の粗末な家に持ち込んだコミュニケーション革命もあり、はたせぬ期待と言う危機をもたらし、それが不満や怒り、街頭での犯罪率の増加につながり、「宣告されない内戦」が、ラテンアメリカにおいて猛威を振るっている。
富裕な世界へと手招きするテレビの比類ないメッセージの洪水の中で成人した、教育も職能もない若者たちが、あらゆる機会を、これ程までに奪われ疎外された時代は歴史上皆無だと言うのである。
益々増加の一途を辿る疎外された暴力的な若者たちが、どんどん都市に進出して行くにつれて、中・上流階級は、生活防衛のために、いわば、外壁のある要塞の中に再び豪を更に深く掘る状態であり、貧困、疎外、そして、犯罪は、金持ちを含めたすべてのラテンアメリカ人の生活の質をかってなく侵食している。
ところが、殺人は、ラテンアメリカの死因の7番目で世界最悪だが、刑務所人口は世界でも最少であり、ラテンアメリカの犯罪者は異常なほど刑罰の免除を享受していると言うのだから恐ろしい。
リオのファベーラを見れば分かるが、最も高級でエレガントな地域から、ほんの数ブロック離れた所に貧民窟が張り付いている。
こんなところには、学校にも行かない数万人の若者たちが居て、多くが8歳から10歳で麻薬を初めて、犯罪者となっても不思議ではなく、両親に会うこともなく、教会やスポーツクラブにも属さず、路上で生活し、麻薬を消費する犯罪労働者だとオッペンハイマーは言う。
マラスと称するストリートギャングが、中米のエルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラ、メキシコの南部から、コロンビア、ブラジルその他の南米まで拡大しており、中米だけでも15万人、ほぼ半数は15歳以下だと言う。
マレロ(刺青をして特別な手のサインをするマラスの構成員)は、ロサンゼルスに源を発し、米国政府に有罪判決を受けた若者たちが母国へ送還されて中米に広がった。
マラスの内部では、麻薬密輸や雇われ殺人、窃盗、誘惑、手足の切断に専念する者たちがいると、ホンジュラスのアルバレス治安大臣が言っているのだから、正に、21世紀の新しい犯罪者なのだが、大きな特色は、覆面で顔を隠す伝統的な銀行強盗とは違って、堂々と悪事を実行して報道機関から注目を集めることを切望しており、一たび脚光を浴びると、指揮命令系統で昇進を果たすのだと言う。
ラテンアメリカでの深刻な問題は、ラムズフェルド米国防長官が、チャベス大統領や彼の追随者の権威主義的逸脱行為よりも、国防総省を憂慮させているのは、ラテンアメリカの悪質犯罪の急増とテロをコントロールする政府の無能力だと指摘していたように、世界最悪の治安の悪さである。
ラテンアメリカでの一般通念は、貧困が犯罪を生むため、貧困削減に焦点を当てた取り組みが必要だと言うのだが、アメリカの専門家の多くは、逆に、犯罪が貧困を引き起こし、地域の第一の優先度は犯罪との闘いであると考えている。
先に論じたように、犯罪の急増による中南米の中・上流階級の自己防衛策が、マイアミの不動産ブームを引き起こしており、「ラテンアメリカの首都」とも呼ばれている。
かなりの数の企業家たちが、自分の家族を誘拐、強盗、殺人等から守るために家族をマイアミに置いており、林立する多くのアパートの購入者の多くは、ラテンアメリカの犯罪被害者であるか、潜在的被害者、言うならば、マイアミの新参者は、犯罪難民なのである。
このような状態であるから、多国籍企業の多くは、この地域における主要な脅威は、治安だとしており、高い警備コストと危険回避のために、ラテンアメリカには投資したがらない。
治安の悪さは、投資を阻止するが故に、ラテンアメリカの発展を妨げている主要な要因だと言うのである。
この本の著者オッペンハイマーは、アルゼンチン生まれで、マイアミ・ヘラルド紙のコラムニストで、イラン・コントラゲート事件でピューリッツァー賞を受賞するなど多くの受賞に輝く敏腕ジャーナリストで、記事の多くは、中南米で読まれていると言う。
この本「米州救出 SAVING AMERICAS」は、「ラテンアメリカの危険な衰退とアメリカは何をなすべきか」と言うサブタイトルの付いたラテンアメリカの将来を真正面から捉えて論じている素晴らしい本で、成長著しい世界のホットスポットを精力的に回って、これらの経験と挑戦が、ラテンアメリカの発展に参考にならないか、追及していて、一種の経済発展比較論の観を呈していて、興味深い。
詳しいコメントは、ブックレビュー記事に譲るが、ラテンアメリカの真実を理解することは、BRIC’sのブラジル・フォローの為にも、必須であろうと思う。
グローバル経済の拡大の陰に存在する世界的なテロの脅威の中では、中近東や北アフリカのテロ集団の動向や海賊が最もポピュラーだが、貧しさと格差拡大によって社会の根本から蝕みつつある中南米の犯罪急増の脅威にも注目すべき時が、とうとう、来てしまったと言うことである。
アルゼンチンのビリャス、ブラジルノファベーラ、カラカスのセロス、そして、メキシコシティのシウダデス・ベルディーダス。高い貧困率は、不平等と金持ちや有名人の生活を地域の粗末な家に持ち込んだコミュニケーション革命もあり、はたせぬ期待と言う危機をもたらし、それが不満や怒り、街頭での犯罪率の増加につながり、「宣告されない内戦」が、ラテンアメリカにおいて猛威を振るっている。
富裕な世界へと手招きするテレビの比類ないメッセージの洪水の中で成人した、教育も職能もない若者たちが、あらゆる機会を、これ程までに奪われ疎外された時代は歴史上皆無だと言うのである。
益々増加の一途を辿る疎外された暴力的な若者たちが、どんどん都市に進出して行くにつれて、中・上流階級は、生活防衛のために、いわば、外壁のある要塞の中に再び豪を更に深く掘る状態であり、貧困、疎外、そして、犯罪は、金持ちを含めたすべてのラテンアメリカ人の生活の質をかってなく侵食している。
ところが、殺人は、ラテンアメリカの死因の7番目で世界最悪だが、刑務所人口は世界でも最少であり、ラテンアメリカの犯罪者は異常なほど刑罰の免除を享受していると言うのだから恐ろしい。
リオのファベーラを見れば分かるが、最も高級でエレガントな地域から、ほんの数ブロック離れた所に貧民窟が張り付いている。
こんなところには、学校にも行かない数万人の若者たちが居て、多くが8歳から10歳で麻薬を初めて、犯罪者となっても不思議ではなく、両親に会うこともなく、教会やスポーツクラブにも属さず、路上で生活し、麻薬を消費する犯罪労働者だとオッペンハイマーは言う。
マラスと称するストリートギャングが、中米のエルサルバドル、ホンジュラス、グアテマラ、メキシコの南部から、コロンビア、ブラジルその他の南米まで拡大しており、中米だけでも15万人、ほぼ半数は15歳以下だと言う。
マレロ(刺青をして特別な手のサインをするマラスの構成員)は、ロサンゼルスに源を発し、米国政府に有罪判決を受けた若者たちが母国へ送還されて中米に広がった。
マラスの内部では、麻薬密輸や雇われ殺人、窃盗、誘惑、手足の切断に専念する者たちがいると、ホンジュラスのアルバレス治安大臣が言っているのだから、正に、21世紀の新しい犯罪者なのだが、大きな特色は、覆面で顔を隠す伝統的な銀行強盗とは違って、堂々と悪事を実行して報道機関から注目を集めることを切望しており、一たび脚光を浴びると、指揮命令系統で昇進を果たすのだと言う。
ラテンアメリカでの深刻な問題は、ラムズフェルド米国防長官が、チャベス大統領や彼の追随者の権威主義的逸脱行為よりも、国防総省を憂慮させているのは、ラテンアメリカの悪質犯罪の急増とテロをコントロールする政府の無能力だと指摘していたように、世界最悪の治安の悪さである。
ラテンアメリカでの一般通念は、貧困が犯罪を生むため、貧困削減に焦点を当てた取り組みが必要だと言うのだが、アメリカの専門家の多くは、逆に、犯罪が貧困を引き起こし、地域の第一の優先度は犯罪との闘いであると考えている。
先に論じたように、犯罪の急増による中南米の中・上流階級の自己防衛策が、マイアミの不動産ブームを引き起こしており、「ラテンアメリカの首都」とも呼ばれている。
かなりの数の企業家たちが、自分の家族を誘拐、強盗、殺人等から守るために家族をマイアミに置いており、林立する多くのアパートの購入者の多くは、ラテンアメリカの犯罪被害者であるか、潜在的被害者、言うならば、マイアミの新参者は、犯罪難民なのである。
このような状態であるから、多国籍企業の多くは、この地域における主要な脅威は、治安だとしており、高い警備コストと危険回避のために、ラテンアメリカには投資したがらない。
治安の悪さは、投資を阻止するが故に、ラテンアメリカの発展を妨げている主要な要因だと言うのである。
この本の著者オッペンハイマーは、アルゼンチン生まれで、マイアミ・ヘラルド紙のコラムニストで、イラン・コントラゲート事件でピューリッツァー賞を受賞するなど多くの受賞に輝く敏腕ジャーナリストで、記事の多くは、中南米で読まれていると言う。
この本「米州救出 SAVING AMERICAS」は、「ラテンアメリカの危険な衰退とアメリカは何をなすべきか」と言うサブタイトルの付いたラテンアメリカの将来を真正面から捉えて論じている素晴らしい本で、成長著しい世界のホットスポットを精力的に回って、これらの経験と挑戦が、ラテンアメリカの発展に参考にならないか、追及していて、一種の経済発展比較論の観を呈していて、興味深い。
詳しいコメントは、ブックレビュー記事に譲るが、ラテンアメリカの真実を理解することは、BRIC’sのブラジル・フォローの為にも、必須であろうと思う。
グローバル経済の拡大の陰に存在する世界的なテロの脅威の中では、中近東や北アフリカのテロ集団の動向や海賊が最もポピュラーだが、貧しさと格差拡大によって社会の根本から蝕みつつある中南米の犯罪急増の脅威にも注目すべき時が、とうとう、来てしまったと言うことである。