熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ヘイミシュ・マクレイ :日本は2050年にも第4位の経済大国

2024年03月07日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   最も最新の未来論であるヘイミシュ・マクレイ の「2050年の世界 見えない未来の考え方」によると、「日本語版への序文」で、
   日本は、”世界第3位の経済大国であり、2050年にも大差の4位を維持する可能性がとても高い。民主主義の下ですべての国民が快適に生活を送っている非常に重要な成功例でもある。”
   この根拠となっているのは、2020年のIMFの推計値を元に、ロバート・バロー教授が開発したHSBCモデルで推計した「2050年の経済規模上位20か国予測」に基づいている。
   インドが第3位に躍り出るのは当然としても、中国がアメリカを抜いて第1位となり、ドイツやイギリスやフランスが日本に続いて上位を占めるのは少し疑問なしとはしない。
   ロシアを除いたBRICSやグローバル・サウスの人口大国である新興国が、成長の3要素を活用して経済成長を遂げて、成熟経済の先進国を凌駕するのは時間の問題であろうからでもある。
   いずれにしろ、多少、データが古いので、参考程度としておくことであろう。

   2月16日に「日本GDPドイツに抜かれて第4位に」を書いて、持論を述べた。
   22年の購買力平価によるGDPは、日本が6,144.60、ドイツが5,370.29(単位: 10億USドル)、実質的には、まだドイツとは大きな差があるので、円安による為替レート換算の結果だと思っている。
   しかし、ドイツとの比較は勿論、日本の労働生産性の低さが先進国でも最下位で突出しており、このままでは第4位どころか、益々、世界各国との経済成長格差が悪化して下落して行く。
   経済成長要因は、「全要素生産性の上昇(技術革新・規模の経済性・経営革新・労働能力の伸長・生産効率改善など幅広い分野の技術進歩)、労働の増加、資本の増加」の3要素なので、日本の場合、人口と資本の増加についてはあまり期待出来ないので、経済成長のためには、全要素生産性の上昇アップすることが必須である。
   特に、少子高齢化で、移民を活用しない限り、労働人口減が急速に進み経済成長の足を引っ張るので、全要素生産性上昇率と資本装備率の上昇で労働生産性を上げて国際競争力を涵養して経済の質を向上させることが重要である。
   分かってはいても、全く、このような気配はなく、鳴かず飛ばずの日本の経済が30年も続いて、いまだに先は見えず。

   ロバート・ソロー教授によると、経済成長の二つの形態は、
   フロンティアの開拓・最先端技術の開発による成長。
   キャッチアップ型、コピー・アンド・ペースト型の成長。
   前者は、未踏の新経済の開発、ブルーオーシャン市場の開発であるから正にイノベーションの世界。
   後者は、遅れた国が、ほかの国で発明されたテクノロジーを利用する方式で、新興経済国の最大の原動力で、その典型が中国。
   前者で成功を続けているのはアメリカだけで、日本も、悲しいかな、後者に成下がって、アメリカの後追い、
   良く考えてみれば、Japan as No.1の時代の成長もキャッチアップ型経済で、今までに、アメリカを凌駕して、「フロンティアの開拓・最先端技術の開発による成長」を遂げたことは、一度もなかった。

   岸田内閣の「新しい資本主義」はともかく、
   PBRを1以上指令で株価が高騰し始めたが、
   全要素生産性の上昇の担い手は、日本の民間企業であるから、特に経済団体で重要な位置を占めている企業に、創造的破壊を迫って、ゾンビ企業を排出して新陳代謝を図ることが必須であろう。
   どんな経営指標が適当かは分からないが、目標値をクリア出来ない企業に退出を迫るような多少社会主義的な経済政策をとっても良いのではないかと思っている。
   とにかく、日本企業に「創造的破壊」のエンジンを起動させない限り、日本の経済の再生はあり得ない。
コメント
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