初めて三井物産の株主総会に出たのだが、ソニーと同じ新高輪の国際館パミールが会場であったけれど、開催時間を過ぎても、本会場に入れたのは、知名度や大衆化の差であろうか。
何時も奇異に思うのは、開場前に、総会の土産もの(大したものではない)だけを受け取って帰って行く株主が非常に多いことで、株主と言っても、配当は当然としても、株主優待などに魅力を感じていて、経営などについては、殆ど無関心と言う人が多いのではないかと思っている。
株主総会が終了するまで、会場に居る人は、6割くらいであろうか。
騒ぎ出して退場させられた株主が一人いた程度で、至って平平凡凡な質問ばかりであり、通り一辺倒の会社説明での応答なので、盛り上がりのない、会社にとっては、平穏無事な総会であった。
会社の経営に不満と言うかプロパガンダの為か分からないが、かなり会社経営について知識のある株主からの提案が9議案出ていたが、下手な株主質問よりは、はるかに問題点を指摘しており、もう少し、提案者に議案説明を行わせて、会社側からも、丁寧に反対説明を行うべきであろうと思う。
大塚家具などのように委任状の争奪戦に至れば別だが、既に回収済みの委任状等で、決議条項は、総て会社の意向通りに承認されていて、株主総会は、単なるセレモニーに過ぎないのであるから、招集通知を読めば分かると言った対応はどうかと思う。
尤も、これらの株主提案は、その良し悪しは別として、会社としては、あまり突っ込まれたくない経営事項なので、当然の対応でもあろう。
業績については、昨年より悪化しており、更に、来季も悪化すると言う見通しで、株価も、株主の指摘では、伊藤忠に抜かれたとかで冴えない。
会社も問題意識を持っているからこそ、新社長を大抜擢したのであろうが、その意味からも、どのような経営戦略を掲げて、新体制に向かうのか、興味を持って、会社説明を聞いていた。
株主が指摘するまでもなく、PBRが、0.73と言うのは、如何にも低い。
極論すれば、会社を分解して叩き売った方が、株主にとって価値が増すと言う数値であるから、こんなに、日本株が上昇している時に、異常な現象と言うべきであろう。
尤も、三菱商事でさえ、0.83くらいだから、商社としては、普通なのかも知れないが、
会社の説明では、新興国経済の不振によって、資源に対する需要が減退しており、石油や鉄鋼などの資源価格の下落で、業績が悪化して、そのための株安だと言う。
社長は、この株価については、全く満足しておらず、全社あげて危機感を共有しており、資源部門の底上げを実施し、天然資源は、結局は、消費して行くものであるので、コスト競争力のある拡張性を志向した資源開発に邁進したいと強調していた。
いずれにしろ、オペレーション的にも、金属資源やエネルギーの比重が非常に高いために、もろに、業績が悪化しており、当然、回復が遅れる事となろう。
したがって、新中期経営計画でも、今後の攻め手として、食料と農業、メディカル・ヘルスケア、衣食住と高付加価値サービスに努力を傾注すると言うことである。
化学品事業と食糧事業をつなぎ、食糧増産・安定供給を実現と言う方向は、これまでの商社事業の延長線上であろうから問題はなかろうが、
「IHHヘルスケア社を核とした病院周辺事業の推進 誓約企業への支援サービス事業の展開」や、
「アジア中間層の消費拡大を捉えた多角的展開 サービス・プラットフォーム事業とした川下領域への積極展開」と言った戦略は、どうであろうか。
アジア・シフト戦略で、どちらかと言えば、プラハラードのBOPやボリュームゾーンと言うよりも、この地域の富裕層をターゲットにした事業展開を図ろうと言うことなのであろうが、まだまだ、国内オリエンテッドの商社にとっては、中々、大変であろうし、そんなに簡単に、金属資源やエネルギー事業に肩を並べられるような業態になるとも思えない。
また、新たな「攻め手」を追求するために、次世代・機能推進セグメントに、コーポレートディベロップメント本部を、インターネット、メディア、ITサービス等、ビジネスチャンスが増大している情報通信技術領域におけるビジネスモデルの革新を加速するために、ICT事業本部を置いたと言うのだが、遅すぎるのではないかと思わざるを得ない。
もう一つ強調していたのは、フリーキャッシュフローが、プラスになったので、更に強靭なキャッシュ創出力に裏打ちされた「新規事業」への投資と「株主還元」に注力したいと言うことである。
来期減益予想にも拘わらず、今回同様に、配当性向が高くなるにも拘らず、配当を64円に据え置くのも、この戦略の一環のようだが、資金を成長投資に向けるのは、利益基調になってきた昨今の日本企業の動向であり、望ましいことであろう。
このキャッシュフローと関係が強いのだが、三井は、EBITDA 重視の経営を行っていると言う。
EBITDA は、売上利益に、減価償却費などが加算された値になっており、キャッシュの流出入で計算したキャッシュ利益と言う概念のようなので、キャッシュフロー重視経営、そして、将来への投資指標としては、重要なのであろう。
会場のスクリーンには、三井物産のスローガンの 360° business innovation.が踊っており、良く分からなかったので、
グーグルで開けると、パワフルな動画が飛び出す。
ところが、説明文の日本語の「世界の未来を、世界と創る」以下の文章と、英語の「For the world. With the world.」以下の文章とで、相当、ニュアンスが違っていて、このチグハグさと言うかその差が、三井物産の経営戦略とグローバル戦略の差だと理解すると、かなり、意味深で興味深いと思うのだが、どうであろうか。
何時も奇異に思うのは、開場前に、総会の土産もの(大したものではない)だけを受け取って帰って行く株主が非常に多いことで、株主と言っても、配当は当然としても、株主優待などに魅力を感じていて、経営などについては、殆ど無関心と言う人が多いのではないかと思っている。
株主総会が終了するまで、会場に居る人は、6割くらいであろうか。
騒ぎ出して退場させられた株主が一人いた程度で、至って平平凡凡な質問ばかりであり、通り一辺倒の会社説明での応答なので、盛り上がりのない、会社にとっては、平穏無事な総会であった。
会社の経営に不満と言うかプロパガンダの為か分からないが、かなり会社経営について知識のある株主からの提案が9議案出ていたが、下手な株主質問よりは、はるかに問題点を指摘しており、もう少し、提案者に議案説明を行わせて、会社側からも、丁寧に反対説明を行うべきであろうと思う。
大塚家具などのように委任状の争奪戦に至れば別だが、既に回収済みの委任状等で、決議条項は、総て会社の意向通りに承認されていて、株主総会は、単なるセレモニーに過ぎないのであるから、招集通知を読めば分かると言った対応はどうかと思う。
尤も、これらの株主提案は、その良し悪しは別として、会社としては、あまり突っ込まれたくない経営事項なので、当然の対応でもあろう。
業績については、昨年より悪化しており、更に、来季も悪化すると言う見通しで、株価も、株主の指摘では、伊藤忠に抜かれたとかで冴えない。
会社も問題意識を持っているからこそ、新社長を大抜擢したのであろうが、その意味からも、どのような経営戦略を掲げて、新体制に向かうのか、興味を持って、会社説明を聞いていた。
株主が指摘するまでもなく、PBRが、0.73と言うのは、如何にも低い。
極論すれば、会社を分解して叩き売った方が、株主にとって価値が増すと言う数値であるから、こんなに、日本株が上昇している時に、異常な現象と言うべきであろう。
尤も、三菱商事でさえ、0.83くらいだから、商社としては、普通なのかも知れないが、
会社の説明では、新興国経済の不振によって、資源に対する需要が減退しており、石油や鉄鋼などの資源価格の下落で、業績が悪化して、そのための株安だと言う。
社長は、この株価については、全く満足しておらず、全社あげて危機感を共有しており、資源部門の底上げを実施し、天然資源は、結局は、消費して行くものであるので、コスト競争力のある拡張性を志向した資源開発に邁進したいと強調していた。
いずれにしろ、オペレーション的にも、金属資源やエネルギーの比重が非常に高いために、もろに、業績が悪化しており、当然、回復が遅れる事となろう。
したがって、新中期経営計画でも、今後の攻め手として、食料と農業、メディカル・ヘルスケア、衣食住と高付加価値サービスに努力を傾注すると言うことである。
化学品事業と食糧事業をつなぎ、食糧増産・安定供給を実現と言う方向は、これまでの商社事業の延長線上であろうから問題はなかろうが、
「IHHヘルスケア社を核とした病院周辺事業の推進 誓約企業への支援サービス事業の展開」や、
「アジア中間層の消費拡大を捉えた多角的展開 サービス・プラットフォーム事業とした川下領域への積極展開」と言った戦略は、どうであろうか。
アジア・シフト戦略で、どちらかと言えば、プラハラードのBOPやボリュームゾーンと言うよりも、この地域の富裕層をターゲットにした事業展開を図ろうと言うことなのであろうが、まだまだ、国内オリエンテッドの商社にとっては、中々、大変であろうし、そんなに簡単に、金属資源やエネルギー事業に肩を並べられるような業態になるとも思えない。
また、新たな「攻め手」を追求するために、次世代・機能推進セグメントに、コーポレートディベロップメント本部を、インターネット、メディア、ITサービス等、ビジネスチャンスが増大している情報通信技術領域におけるビジネスモデルの革新を加速するために、ICT事業本部を置いたと言うのだが、遅すぎるのではないかと思わざるを得ない。
もう一つ強調していたのは、フリーキャッシュフローが、プラスになったので、更に強靭なキャッシュ創出力に裏打ちされた「新規事業」への投資と「株主還元」に注力したいと言うことである。
来期減益予想にも拘わらず、今回同様に、配当性向が高くなるにも拘らず、配当を64円に据え置くのも、この戦略の一環のようだが、資金を成長投資に向けるのは、利益基調になってきた昨今の日本企業の動向であり、望ましいことであろう。
このキャッシュフローと関係が強いのだが、三井は、EBITDA 重視の経営を行っていると言う。
EBITDA は、売上利益に、減価償却費などが加算された値になっており、キャッシュの流出入で計算したキャッシュ利益と言う概念のようなので、キャッシュフロー重視経営、そして、将来への投資指標としては、重要なのであろう。
会場のスクリーンには、三井物産のスローガンの 360° business innovation.が踊っており、良く分からなかったので、
グーグルで開けると、パワフルな動画が飛び出す。
ところが、説明文の日本語の「世界の未来を、世界と創る」以下の文章と、英語の「For the world. With the world.」以下の文章とで、相当、ニュアンスが違っていて、このチグハグさと言うかその差が、三井物産の経営戦略とグローバル戦略の差だと理解すると、かなり、意味深で興味深いと思うのだが、どうであろうか。