熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

加速する地球温暖化・・・東大山本良一教授

2007年12月03日 | 地球温暖化・環境問題
   シンポジウム「地球温暖化とエコ・イノベーション」で、山本教授の講演「加速する地球温暖化――急がれるエコ・イノベーション」を聴講した。
   先日このブログ(11月11日)で取り上げた教授の近著「地球温暖化地獄」を、直接教授の口から地球環境を死守しようという激しい言葉として直に聴いたのだから、迫力が違う。
   地球環境の破局の前兆は随所に現われており、地球温暖化は既に地獄の一丁目まで来ているにも拘わらず、日本人は危機意識もなければ全くの能天気で立ち上がろうともしない。地球温暖化に対して宣戦布告をすべきで、天皇陛下の詔書が欲しい、とまで言う。

   30年前に、「地球は、環境を生命の生存に相応しい状態に維持するために惑星規模のスケールのコントロール能力を保持している」というガイア理論を打ち立てたジェイムス・ラブロック博士が、昨年一月には、「地球は地球温暖化の引き返すことの出来ない時点を過ぎてしまった」と言ったが、この予言を引用し、私たちはポイント・オブ・ノーリターンを超えてしまったのかと問いかける。
   例え、今、温室効果ガスをゼロにしても、現在生み出されたカーボンは、何千年もの間、地球上を浮遊するのだと言う。北極海の海氷は、NASAの衛生写真で毎年トルコの面積ずつ氷解しており、もう既に元に戻らず、2030年には完全に消滅し、続いて、グリーンランドと南極大陸の氷床もチッピングポイントを越える時期が近付いており、これが氷解すると温暖化と海表面の上昇で臨海大都市の水没や地球環境の破壊は限りないと言う。
   今でさえ、海氷の氷解で餌に辿りつけずに、どんどん北極熊が死んでいるのに、もうすぐこの地球上から死滅してしまう。人口は幾何級数的に増えているのに、温暖化の為に、年間、何万種と言う動植物が死に絶えているのである。

   山本教授の一番嘆くのは、熱心な欧米と違って、日本の財界の地球温暖化に対する非協力的な態度で、温室効果ガス排出量の総量規制や排出権取引や環境税の創設など経団連が反対していて、各個別企業の自主規制に任されていると言うことである。
   聞くところによると豊田章一郎氏が経団連会長の時に反対したのが継続しているようだが、この状態を続けていると、京都議定書の6%削減目標実現も難しく、世界中の国から完全に遅れてしまって相手にされなくなると言う。

   とにかく、温室効果ガス排出など地球環境対策をイギリスのように法制化したり、多くのヨーロッパのように企業に厳しい排出権枠を与えて法的に規制するなど、少なくともヨーロッパ並みの排出権枠規制や排出権取引やカーボン税などの環境税設定など法態勢などの整備が必要であろう。
   日本企業の環境対応技術など最も進んでいると言った議論がなされているが、実際はそうではなく、省エネでは多少進んでいてもエコプロダクツやエコ・イノベーションなど多方面で、ヨーロッパなどから遥かに遅れているのだと言う。
   日本の経済は、まだ、GDPベースでは世界第二位だが、一人当たり国民所得はヨーロッパの中位位の水準で、国際競争力は先進国で最低水準に近く、色々な面で昔日の面影を喪失して普通の国になってしまっていることを認識しない為の幻想が結構多い。
   
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