もう一つの黒い椿---ナイトライダー

　　　今日も雨。
　　　昨日の強風まじりの激しい雨ではなく、優しい、しかし、冷たい雨である。
　　　
　　　そんな優しい春雨のシャワーを浴びながら、最後の黒椿・ナイトライダーが花を開いた。
　　　大きく花弁を開いたブラック・オパールの横に並ぶと控えめだが、黄色い蘂が美しい。
　　　ややラッパ咲きのブラック・オパールと違って、抱え咲きの小輪がふっくらした野辺の子供の顔を思い出させる。
　　　
　　　満開を過ぎて少し色のくすんだバックのソメイヨシノに抱えられながら、静かに春雨を受けている。
　　　もうすぐ、大通りの八重桜の並木がピンクと白のたっぷりとした花で満開になる。
　　　何故か、ヨーロッパの屋敷や街路の桜は、八重桜ばかりであった。
　　　
　　　キューケンホフの花々が、ゴールデンウイークの頃に、咲き乱れる。
　　　キューガーデンの松前桜は、もう、咲いた頃であろうか。
　　　そんなことを思いながら、黒い椿を眺めている。