医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病腎症対策とR―リポ酸について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-06-29 21:01:59 | 健康・病気

糖尿病性腎症の第一期は、糖尿病を発症した時点で第一期と解釈でき、症状はなく、
医学的所見も見当たらない時期です。第二期は、一期から5~15年で発症し、自覚症状のない、隠れ腎不全の時期です。第三期のAでは、心不全は認められませんが、Bでは心不全が認められます。このように症状が進むまでは気づかないので、隠れ腎不全と呼ばれています。また、心腎連関といって、糖尿病性腎症で腎臓が悪い患者は、心臓も悪くなり、最近の研究では、脳や眼も同時に悪くなると、言われています。

新しい研究では、糖尿病性腎症による心臓血管系疾患の終末状態を、R-リポ酸が阻害することが、わかりました。更に、追試が研究され始めています。

一酸化窒素(NO)の作用が減少したことによる血管内皮の機能不全は、動脈硬化の進行に先立ちます。非対称性ディメチルアルギニン(ADMA)は、体内で造られる一酸化窒素シンセターゼ(酵素の一種)の阻害剤であり、血管内皮の機能障害の一因となります。さらに、それは、血液透析をしている末期糖尿病腎症患者が心臓血管系疾患を発症することを、予言しています。

Ulsan大学の研究では、アルファーリポ酸を血液透析をしている末期糖尿病性腎症患者に摂取してもらい、一酸化窒素(NO)が媒体する血管拡張を高めさせることが、わかりました。この研究の目的は、アルファーリポ酸が、透析している糖尿病性腎症疾患に罹った患者において、非対称性ディメチルアルギニンの血漿値を低下させることができるかどうか、調べることです。

一週間に三回、血液透析実施糖尿病腎症(腎臓病)患者50名は、12週の間、アルファーリポ酸を600mg/日、摂取し、もう一方のプラセボ(偽薬)摂取対照グループと無作為に分けられました。コレステロール、アルブミン、C-反応性蛋白質、酸化LDL、ヘモグロビンA1c、それにADMAの測定が、基準ラインで、12週にわたって両グループで実施されました。プラセボ摂取グループでは、これらの値は変化しませんでしたが、R-リポ酸摂取グループでは、ADMA値は22%と、著しく低下しました。ADMAは、糖尿病腎症による心臓血管系疾患の独立したリスク因子であるので、R-リポ酸はこの疾患に対し有益な効果を有する可能性があります。更に、健康な人の腎機能を保つのに有益と、考えられます。更なる研究を期待しています。なお、AGEsなどの代謝終末産物の産生を阻害する、VB1、R-リポ酸、カルノシンなどの抗AGEsサプリメントも、抗酸化サプリメントと共に、糖尿病合併症対策に必要と、考えられます。また、糖尿病には、低AGEs食を食べる習慣を作ることも大切です。低AGEs食は、魚を煮たり、刺身にしたり、また、大豆製品を蛋白源として、野菜、穀類、豆、イモ、貝などを蒸したり、煮たり、生のまま、または酢の物で食べます。焼いたり、揚げたりした加工食品はAGEs値が高いので、糖尿病による心不全、腎不全の人には勧められません。これらは臨床栄養研究でも証明されています。

References

AGE-reducing nutrients could save your kidneys: Life enhancement

Good news for diabetes: Life enhancement