医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

糖尿病による心不全対策と栄養療法について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-06-16 21:57:57 | 健康・病気

今や、三人に一人は罹ると報告されている糖尿病、その国民病とその合併症の心不全(心臓が弱くなる症状)や心筋梗塞になる人は、糖尿病患者の約50%に及ぶと、報告されています。今回は、健康寿命を延ばす、糖尿病による心不全の栄養療法について考えていきたい 、と思います。

糖尿病やその他の原因による心筋の弱化による血漿量を調整すべく、すでに弱化したその能力に負担をかけ過ぎる、うっ血性心不全に対する食事療法では、余分の塩分と水分の制限を必要としています。なお、糖尿病の合併症であるうっ血性心不全は、息苦しさ、夜間の咳などの症状があり、自分が隠れ心不全と気づいていない人が多いようです。

食事性ナトリウムの高摂取は、肥満者に於ける心不全の、強い、他の影響を受けないリスク因子となっています。ナトリウム制限は、治療の重要な一部であり、利尿薬療法の必要性を減らすことができる可能性があります。2,000g/日から2,400mg/日までのナトリウム制限は、1.5L/日の水分摂取の制限と共に、機能段階を改善し、浮腫を減らします。ナトリウム摂取の制限は、高血圧のコントロールとその治療に重要です。なお、高血圧は心不全のリスクを高めます。また、Mg(必須ミネラル)の摂取適正量の維持は、心不全患者に取って重要です。約30%の心不全患者はMg欠乏症であり、その欠乏は、NaイオンとKイオンのバランスを狂わせ、悲惨な予後をもたらします。

利尿薬で治療した腎不全患者のビタミンB1(VB1)欠乏は、その患者の57%から98%で認められ、利尿薬の投与量が増えるに従って、増加します。高単位のVB1(200mg/日)の摂取は、その欠乏による生化学的指標と左心室機能を改善します。また、補助療法としての補酵素Q10の対照を置いた臨床試験のメタ分析では、心不全患者の拍動容量、心臓の拍出量、心臓病指数、心拍拡張期の容積、(例えば、突発性拡張型虚血、高血圧、弁状性心臓病、それに先天性心臓病など)での著しい改善が認められました。これらの臨床試験では、伝統的治療に加えてQ10が150mg/日から300mg/日の投与範囲で用いられました。また、ビタミンC、L-カルニチン、タウリン、ハーブのcrataegus oxycantha Lなども、心不全に対する効果が研究中です。VCの心不全に対する効果については、このブログにupする予定です。

食事では、糖尿病食に加え、心不全食などの指導を臨床管理栄養士から受けてください。心不全も心臓で炎症が起こって、フリーラジカルが産生されているので、治療食に抗酸化栄養素も加えることが必要と考えます。なお、脂溶性ビタミン、必須ミネラルなどは、病態に応じて摂取量を管理栄養士に相談下さい。なお、糖尿病による腎不全と心不全は関連して発症(併発)している場合が多いので、その場合、臨床データを見ながら、腎不全食、糖尿病食、心不全食をトータルにコ―デネイトできる臨床管理栄養士に相談するのが賢明と考えます。さらに、加工食品には塩分が意外に多く含まれているので、注意が必要です。成分表示をチェックしましょう。また、トランス脂肪酸は心臓病に有害なので、それが含まれる加工油脂は、心不全や心筋梗塞患者は摂取しないのが賢明と考えられます。さらに、心不全患者は、健康飲料などに50mg程度のカフェインが含まれているので、飲み過ぎに注意しましょう。運動調整も重要なので、心臓・糖尿病内科の医師に相談することが必要、と考えます。

 

References

Heart Failure: Nutritional Considerations, Health Care Providers' Section

Food with vitaminC may help heart failure patients: Heart Failure Health Center

Diet high in B vitamins lowers heart risks in Japanese study: ScienceDaily, Apr. 16, 2010

Vitamin B1 could prevent heart problems caused by diabetes: Samadanda Billuti. Dec 6,2010