医科栄養学・栄養医学ブログ

医学部で医科栄養学を学んだ経験と最新の栄養医学をこのブログに反映したいと、考えています。

メタ分析による補酵素Q10の心不全に対する効果について 栄養医学ブログ 日本ビタミンC研究会 藤井毅彦

2013-06-07 21:50:56 | 健康・病気

糖尿病による合併症では、高血糖により腎機能が低下し、それが心臓病の危険因子となり、腎機能の低下が進行するに伴い、心筋梗塞や心不全、脳卒中など、心血管障害(CVD)の発症率が高まると、報告されています。従って、糖尿病が原因の心不全は、Q10(補酵素Q10)で血糖値やヘモグロビンA!cを抑えるとともに、補酵素Q10(ubiquinone)で心臓の駈出率を高めてやる必要が有ります。ここでは、過去の研究データ―をメタ分析で解析した研究を紹介します。

Q10は、うっ血性心不全(CHF)において心筋の機能を改善すると、報告されていますが、いくつかの無作為対照試験では、Q10のCHFに対する効果では、明確な効果を調べていません。そこで、メタ分析を用いて、CHF患者の駈出率(EF)とニューヨーク心臓病協会機能区分(NYHA)により、Q10摂取の影響を、MEDLINE、EMBASE、対照試験のCochvanセンター登録記録、それに、選択した研究に関連したマニアル調査などを含むデータべースを用いて、評価しました。
参加者の特徴、試験デザイン、試験期間、治療法、投与量、対照群、駆出率、患者の機能段階に関する情報は、標準的プロトコールを用いて引き出されました。

Q10サプリメントの摂取では、駆出率の平均貯留ネット変動は3.67%(95% CL:1.60%, 5.74%)、NYHA機能区分は、-0.30(95% CL:-0.66, 0.06)でした。サブグループの分析では、交差試験(1994年以前に発表された研究、期間12週以下の治療期間の試験、100mg/日以下の投与量、重度のうっ血性心不全患者が少ししかいない)では、駆出率の著しい改善が見られました。これらのサブグループの分析では、少数の研究と各サブグル―プに含まれる患者数を考慮して、注意深く解析すべきです。

利用可能な無作為対照試験に対する、分析結果を集めると、Q10はうっ血性心不全患者の駆出率を改善できる可能性があります。当方の少数調査でも、Q10による糖尿病性CHFの改善を認めています。更に研究が増えることを望みます。

次に食生活では塩分を減らし、カリウムやマグネシウムの豊富な野菜、果物、豆などを多めに摂取します。また、活性酸素は心筋の弱化を引き起こすので、抗酸化食品も多めに摂取することが必要です。食物の硫黄成分は心筋を保護すると九州大学の研究で判明したので、ネギ科の野菜の玉ねぎやニンニクはよく食べた方が、心不全患者の心筋の健康保持にはいいようです。ちなみに、米国の糖尿病による心不全患者は、ニンニクサプリメントやニンニク料理をよく食べているそうです。

References

Effect of coenzyme Q10 supplementation on heart failure:a meta-analysis, Fotino A D et al, Am J Clin Nutr, 2013 Feb ; 97(2): 268-75

Coenzyme Q10 for heart disease-heart disease and Coenzyme Q10:Marc Lallanilla, About .Com, December 23,2008

Coenzyme Q10-Topic Overview: Web MD