これまで2−3年に1回は必ず参加していました。今回も2年ぶりに参加。オンラインだから,より参加しやすくなりました。
前半の基本編はともかく,実践編に入ると初日からいきなり高度な内容です。ついて行こうと必死で聞きますが半分も理解できません。達人たちの心音に関するマニアックな会話が,よ〜わからんけど最高に面白い!もっと理解できるようになれば,もっと面白いだろうなあと思います。エコーやカテ所見という武器を使って心音の解釈にフィードバックして病態を突き詰めるすごい世界。循環器フィジカルのプロならではの領域です。こんなことが分かる達人がいるのを知るだけでも値打ちがあります。
そんなハイレベルは無理でも,自分なりにいくつか初日で新しく覚えたこと。
<自分のための覚え書き>
・Gallavardin徴候:大動脈弁狭窄の雑音で心尖部では低調成分が減弱して高調成分が残って音質が変わる(これ何度聞いても覚えられない。まだ自分でこれ!という分かった症例を経験していないからでしょう)
・ASは重症になるとII音が減弱するが,二尖弁によるASではII音は小さくならない
(パシッとしたII音が聴こえる)
・二尖弁では上行大動脈などに病変を合併することがある
・頸静脈の吸気による低下は5cmH2Oくらい(室生先生)
・Revero-Carvallo徴候(右心系の雑音は吸気時増強する) リベロ カルバイヨと発音するんですね。
・を分かった上で,逆Revero-Carvallo徴候
・右心系を回すには心拍数が必要
・AS vs MR:ASではIV音,MRではIII音を聴取しやすい。
同様に心尖拍動においてASではdouble apical impulse, MRではrapid filling waveを触れやすい
・後尖逸脱で前方に吹いているMRでは鎖骨に雑音が伝達することがある(え〜!?どうやってASと区別?)
・III音を聴取すれば,高い特異度を持って重症MR
・TRも適切に手術適応を考えなければならない
・TRの頸静脈 収縮期陽性波があまり重症になるとわかりにくくなる→座位にすると見えやすくなる
・MRとTRの収縮期雑音の聴き分けは?:TRは弱いので難しい,浅い感じ,近くで聴こえる感じ,呼吸性変動,
・わりかし広い範囲で聴こえる収縮期雑音は,MR+TRの可能性を考える
<坂本二哉先生の講演での最後の言葉> これが凄かった!!
Physical Examでほとんどの心疾患はほぼ診断可能である
*心電図,レントゲン,心エコーなどの検査はフィジカルの確からしさを検証するためにあると考えること
*精密検査の結果とPhysical Exmが食い違っても直ちにそれを受け入れず,その理由を考えること
*そうでなければPhysical Examの腕は上がらない
*精密検査の方が正しくないことも少なくはない
ここまで言い切れるのは本当にすごいマスター・ヨーダの世界。坂本二哉先生のお話は毎回驚愕するが,100万年かかってもこんなレベルには到達できないなあ,と感じ入りました。