面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「眠れる美女」

2009年08月20日 | 映画
15年前に妻と娘を自動車事故で亡くしたエドモンドは、人生に絶望している初老の実業家。
離婚問題で貶めあっていた矢先の妻の死に、自殺ではないかとの疑念を抱き、いたたまれない思いに苛まれ続けていた。
そんな彼に対して友人のコーギは、ある特殊な薬で眠らされていて決して目を覚ますことのない処女と一夜を過ごすという娼館を紹介する。
一糸纏わぬ“眠れる美女”の美しさに驚嘆するものの、一切のコミュニケーションが取れないことに苛立ちを覚えるが、わずかながら反応を示す娘の姿態に惹かれ、通うようになる。
そんなある夜、2人の娘をあてがわれたのだが、そのうちの一人の呼吸が止まってしまった…

川端康成の小説をドイツで映画化。
特殊な睡眠薬で眠らされている美女が待つ謎の館へと通う初老の主人公。
「触れてはいけない」という規則を破り、ますます美女と過ごす一夜の甘美に溺れていく。
そら溺れるわ。単純にそう思う。

そして、偶然昼間に出会った“眠れる美女”の一人を追いかけてしまい、ルール違反を重ねてしまう主人公の最期は、それが自然な流れだったのか、それとも…
とはいえ、耽美な夜を過ごしたのち、“聖母”に見守られての最期は、長らく苦しみ続けてきた心が解放され、安らぎの中で迎えることができたという点において、幸せなものとなったと言えるだろう。
天に召される前の現世において、その心は救われたのかもしれない。

登場する“眠れる美女”達は、皆実に美しい。
DVDで鑑賞される場合は、解像度の高いキレイな画面でご覧になることをお勧めするが、決して「ポルノ」ではないので念のため。


「眠れる美女」
2005年/ドイツ  監督・脚本・出演:ヴァディム・グロウナ
出演:アンゲラ・ヴィンクラー、マクシミリアン・シェル、ビロル・ユーネル、モナ・グラス、マリーナ・ヴァイス、ベンヤミン・チャブック、ペーパー・ルッパ


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