面白き 事も無き世を 面白く
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「セーラー服と機関銃 -卒業-」

2016年03月06日 | 映画
高校三年生の星泉(橋本環奈)は、四代目目高組組長だったという過去がある。
父親代わりに自分の面倒をみてくれていた伯父の星嗣夫(榎木孝明)が、高校の入学式の日に目の前で銃弾に倒れ、ヤクザの親分だったことを知った泉は、親族が跡目を継ぐという組のしきたりに則り、組長となったのだ。
そして敵である浜口組に3人しかいない子分を引き連れて乗り込み、機関銃を打ち込むという大事件を引き起こす。
この一件で浜口組と協定を結び、浜口組は目高組の“シマ”には手を出さないことと引き換えに目高組は解散。
事務所を改装して「めだかカフェ」をオープン。
組長改め、店長としてカフェを切り盛りしているのだった。

いまだに自分のことを「組長」と呼んでしまう元若頭の土井(武田鉄矢)たち「店員」の言動にうんざりしながらも、フツウの女子高生として暮す泉のもとへ、ある日同級生の女子がやって来た。
胡散臭いモデル事務所が詐欺まがいの契約で女の子を集めているという話に、「店員」の祐次(大野拓朗)と晴雄(宇野祥平)と共に現場に乗り込むと、責任者の男が浜口組がバックに付いているという。
協定違反に抗議するべく、浜口組長(伊武雅刀)に直談判に行った泉だったが、逆に浜口から危険ドラッグ入りのクッキーを売りさばいていると責められる。

この些細ないざこざは、実は浜口組が引き起こしたものではなく、いくつもの「フロント企業」抱えて暗躍する暴力団・堀内組の進出の序章であった。
「ホリウチ都市デザイン」という企業が、街の再開発を担って進出してくるが、社長の安井(安藤政信)は、街の再開発を病院や介護施設、製薬会社を経営する堀内組の若き組長だった。
巨大な力を背景に、市長と刑事をも抱き込んで街を食い物にしようと企む安井の前に、恐れをなした浜口組長はひれ伏してしまう。
しかし、若頭補佐として組長を支えてきた月永(長谷川博己)は、堀内の指揮下に組み入れられることをよしとせず、浜口組を再興するべく堀内組の排除を企て、目高組組長としての泉に協力を持ちかけた…


1981年に薬師丸ひろ子主演で映画化され、翌年の邦画配給収入一位をなる大ヒットを飛ばした「セーラー服と機関銃」。
薬師丸ひろ子を一躍スターダムに登らせた相米慎二監督の名作の“続編”となる物語が、角川映画40周年記念作品として映画化された。
ヒロインの星泉には、映画初主演となる橋本環奈が抜擢され、かつての薬師丸ひろ子同様に主題歌も歌う。
往年の大ヒット作品の後継作品に、主役として指名された橋本環奈が感じたプレッシャーはいかばかりか。
その重圧たるや想像を絶するものがあるが、それに押しつぶされる気配を全く感じさせない橋本環奈の佇まいが清々しい。
イマドキの女子高生を等身大に演じつつ、戦う決意を固めた泉の急成長ぶりを、堂々たる演技で魅せていく。


ドラッグ入りのクッキーを取引する場所として映画館が登場するが、そこで上映されている作品が「晴れ、ときどき殺人」。
また、巨悪に立ち向かうべく行動を共にする月永に、ほのかに思いを寄せていく泉の姿は、「探偵物語」における、松田優作演じる辻山に淡い恋心を抱く薬師丸ひろ子演じるところの直美を彷彿とさせる。
往年の角川映画を活用し、テイストを醸し出すところは、正に角川映画40周年に相応しい。

更には、ヒロインを演じる橋本環奈が、潔いほどアイドル然としてスクリーンに映し出される。
薬師丸版「セーラー服と機関銃」の代名詞である「カイ、カン…」の台詞を、出し惜しみすることなく、しかもある意味“脈絡もなく”言わせるところも愉快!
メガホンを取る「婚前特急」や「夫婦フーフー日記」の前田弘二監督は、一風変わったヒロインを活き活きと描く術に長けているが、本作では橋本環奈をアイドルとして小気味よく、“どストレート”に描いている。


1980年代、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の「角川三人娘」を、アイドルとして映画の中で躍動させた往年の角川映画が、今をときめく橋本環奈を押し立て、平成テイストで復活!
イマドキなエンタメの、正統派美少女アイドル映画♪


セーラー服と機関銃 -卒業-
2016年/日本  監督:前田弘二
出演:橋本環奈、長谷川博己、安藤政信、大野拓朗、宇野祥平、古舘寛治、鶴見辰吾、榎木孝明、伊武雅刀、武田鉄矢、北村匠海、前田航基、ささの友間、柄本時生、岡田義徳、奥野瑛太


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