面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」

2012年10月23日 | 映画
20年前。
ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック(「帰ってきたウルトラマン」)、ウルトラマンAのウルトラ4兄弟は、異次元人ヤプールの怨念が集結した究極超獣・Uキラーザウルスを死闘の末に倒して神戸港沖へと沈め、彼らが持つ光エネルギーのほとんどを使い果たすファイナル・クロスシールドによって封印した。
その代償として変身する能力を失ってしまった彼らは、一心同体であった人間の姿、すなわちハヤタ(黒部進)、モロボシ・ダン(森次晃嗣)、郷秀樹(団時朗)、北斗星司(高峰圭二)として、人知れず神戸市内に暮らしながら、神戸の沖合いに眠る怪物を見守っていた。
時が経ち、地球の平和はウルトラマンメビウスとCREW GUYSによって守られていた。
そんなある日、神戸沖に異変が生じはじめ、時を同じくしてテンペラー星人、ザラブ星人、ガッツ星人、ナックル星人による宇宙人連合が侵略してきた。
迎え撃つウルトラマンメビウスだったが、狡猾な宇宙人連合の策略にはまり、囚われの身となってしまう。
メビウスを救い、そして愛する地球を守るため、自らの命と引き換えになることも恐れず、ウルトラ4兄弟は再び立ち上がった…!


宇宙警備隊のルーキーであるウルトラマンメビウスは、命をかけて地球を守ってきたウルトラ兄弟たちに、強い憧れを抱いていた。
そして、ウルトラ4兄弟が地球を守るための死力を尽くした最後の戦いを“伝説”として胸に刻み、ウルトラの父に異星人や怪獣の攻撃から人類を守ることを命じられて地球に降り立った、若きヒーローである。
そんな“後輩”の活躍を、ウルトラ4兄弟は地球人として、神戸に暮しながら見守っていた。

この「神戸に暮しながら」というところが、関西人である自分の心の琴線に触れずにはいられない。
ウルトラマンのハヤタは神戸空港の長として、ウルトラセブンのモロボシ・ダンは牧場のスタッフとして、帰ってきたウルトラマン郷秀樹はサーキットの指導員として、そしてウルトラマンエース北斗星司はレストランのシェフとして、それぞれ神戸市民として生活しながら、遥か沖合に鎮めたUキラーザウルスとヤプールの怨念を見守っているその姿を見るだけで胸が熱くなった。
(「アホ」のそしりも是とするものである)
神戸における“不穏な空気”を感じ取り、調査にやってきたヒビノ・ミライを彼ら4人が出迎え、激励する場面では、伝説のヒーローたる宇宙警備隊の大先輩達との邂逅に感激するミライと同じく、自分も感動が胸に迫って涙がこぼれた。
(「アホ」と言われるのも致し方ないものと思われる)


宇宙人連合の攻撃によって神戸の街が破壊され、荒廃した風景が登場する。
かつての阪神大震災がフラッシュバックし、軽い不安や恐怖に襲われたが、ふと敗戦の爪痕がまだ色濃く残っていた東京の街を破壊し尽くしたゴジラが脳裏に浮かんだ。
東宝特撮シリーズの先駆けであり、輝かしい金字塔を打ち立てた「ゴジラ」に人々が恐怖し、熱狂したことが理解できた気がする。
震災によって壊滅した街並みを思い起こした自分以上に、東京大空襲を思わせるゴジラの破壊活動に、人々は大いに心を痛め、中には涙した人もいたことだろう。
怪獣が暴れまわる姿は災害や戦争の簡易な比喩であるなどと、無邪気な子供のころには夢にも思わなかったが。


往年のウルトラマンシリーズと共に育った我々世代のノスタルジーを掻き立て、更に神戸を舞台に展開する物語が関西のファンの心を鷲掴みにする、劇場版ウルトラマンシリーズにおける傑作!

昔ながらの“着ぐるみ”による戦闘だけでなく、最新のCG技術を駆使したスピード感あふれる映像は圧巻!
来る11月3日(土)の午後1時15分より、神戸・新長田ピフレホールでの「第17回神戸100年映画祭」にて上映されるので、ぜひ劇場のスクリーンで存分にその迫力を味わっていただきたい♪


「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」
2006年/日本  監督:小中和哉
出演 五十嵐隼士、黒部進、森次晃嗣、団時朗、高峰圭二、いとうあいこ、田中碧海、堀内正美、山田まりや、アメリカザリガニ、布川敏和、田中実、風見しんご、氷川きよし




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