面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

野戦病院③

2007年02月11日 | よもやま
「はい、お薬ここへ吐き出してねー」
と、看護婦のオバチャンが銀の皿を持って近付いてきた。
いよいよ胃カメラを飲む時がやってくる。

皿の上に水飴薬を吐き出すが、苦いようなものすごいマズイ味が舌に伝わり、またもや「おえ!」と吐きそうになる。
前夜9時から絶食しているので、吐くものは何もないのだが…さっき飲んだ“謎の液体”が胃液と混ざって出てくるのは最悪なので必死にこらえる。
お?ノドの奥の方の感覚がヘンだ。
麻酔が効いてきているようである。

胃カメラを飲むための検査台へと通される。
カーテンで仕切られていて見えないものの、オッサン出す「おえっ!」「ぐえっ!」「げぇーっ!」と“音”(声にならない声)の充満する中を進むのは根性のいることだ。
まるで断末魔の叫びが響き渡る野戦病院である。

自分が乗るベッドにたどり着くと、持参したタオルが枕の横に敷かれ、タオルの上にまた別の銀の皿が置かれている。
枕の端から顔を少し出す感じで横になれと指示される。
いちいち姿勢が難しい。
「先生が来るまで、しばらく横になって待っててくださいねー」
と言い残し、カーテンをひいて看護婦のオバチャンはどっかへ行った。

目の前には胃カメラとおぼしきチューブが装備されたモニター付の機会がある。
あのモニター画面に自分の体内映像が映し出されるということか?
それにしてもえらい上の方にあるので、これでは見にくい。
いやしかし、あまり見たいものでもないので、どうでもエエか。

自分の寝台は部屋の一番端だった。
横になって待っている間、背後から検査技師の先生と受診者との“せめぎ合い”が聞こえる。
いや、受診者は言葉にならずに“音”を発しているに過ぎないので、せめぎ合いにはなっていないか。
「ぐえっ!おえ~っ、おえっ」
「はいはい、チカラ抜いて楽にしてー」
「おえっ!おえーっ!」
「はい、もう少し我慢してくださいねー」
「げぇ~っ!ぐえっ、ぐえっ!」
ガマガエルの調教かっ!?

何でもエエから、早よ済ませてくれ。
ヘビの生殺し、ちゅうのはこういうことを言うのか。
エエかげんイライラしてきた頃、ようやく先生がご登場。
「胃カメラは初めてですかー?」
と言いながら先生が何やら操作すると、寝台がスルスルと上昇しだした。
モニターがえらい上の方にあると思ったら、こういうカラクリがあったのか。
「余裕があったら、画面見ててくださいねー」
胃カメラ飲んでる間に“余裕”があるのか?

口にチューブを通しやすくするための“ある種のマウスピース”のような道具をくわえさせられる。
「ここから胃カメラ通していきますからねー」
と言いながら、チューブをこっちへ差し出してくる。

to be continued…

野戦病院②

2007年02月11日 | よもやま
人間ドックで「再検査」の“赤紙”をくらったため、行きつけの病院で胃カメラを飲むことになった。

人生初体験。
しかも、過去に聞いた体験談はロクなものではない。
曰く「おえおえ言いながら太い管がノドを通っていくのを我慢するんですわ。」
曰く「ぐいぐいカメラが食堂を通っていって、胃に突入して、更に十二指腸までねじこまれる感じがよくわかって気色悪い…。」
etc
数々の発言が走馬灯のように頭の中に再生される。
それだけで何やら食堂や胃が痛くなってきたような気がしてくる。

病院の「内視鏡センター」という部屋へたどり着き、受付を済ませて順番を待つ。
部屋の奥からオッサン声でゲェゲェ聞こえてくる。
こっちまでゲロってしまいそうだ。

混んでるようで、予約時間を10分ほど過ぎた頃ようやく呼び出された。
診察台に乗る前に、いろいろ事前準備がいる。
まず、胃の中をキレイにするためとのことで、紙コップに入った無色透明の液体を飲まされた。
不思議な味のまずい“水”をすきっ腹に流し込むと、腹の奥にひんやりとした感覚が広がった。
既に気分が悪くなってくる…。
単に気分的なもので、アレルギー反応とか検査を受けられなくなるような状態に陥っているわけではないので次の“儀式”へと移る。

今度は腕に、胃の動きを鈍らせる筋肉注射。
人間ドックで胃のレントゲン写真を撮るときにも注射されるが、それとは違うらしい。
これがまた結構痛いがな。
看護婦のオバチャンに「よう、揉んどいてや」と言いながら渡されるアルコールの染み込んだ綿で腕を揉みまくって痛さを和らげようとしていると、首にクッションを付けられる。
旅行用グッズ売り場でみかける、首周りにつけて飛行機や列車の座席で眠るために使う「首枕」だ(そんな名前か?あれ)。
そして次の“儀式”へ。

「イスにもたれて上向いて、舌を出して口あけてねー」
と、さっきの看護婦のオバチャンに言われるまま姿勢をとると、ベロの奥の方に無職透明の水飴を乗せられる。
「飲み込まんようにして、できるだけノドの奥の方で止めといてねー」
そんな器用なことが完璧にできる人がいたら知りたいものだ。
その水飴状の薬はノドを麻痺させる麻酔薬のようだったが、言いようのないマズイ味。
まだカメラも飲んでいないのに「おえっ!」ともどしそうになるのをこらえて、言われるようにベロの奥の方で薬を止めるように意識しながら、ベロ出しのまま口を開いて上を向いて30秒。
これがなかなか時間が過ぎない…

to be continued


野戦病院①

2007年02月11日 | よもやま
毎年恒例の人間ドックに入った。
大阪の某有名ホテル内のクリニックを利用した一泊での検診。
それを会社経費でやってもらえるのだから、利用しないテは無い。
この人間で休む時は、今の会社に入って良かった♪と思える数少ない(?)ひとときである。

まあ、オプションでいろんな検査をやってもらうので、全く無料で人間ドックを受診しているわけではなく、なんやかんやで2、3万使ってしまうのだが、それでももちろん、フツウに受けるよりははるかにお得である。

その人間ドックのメニューに、胃のレントゲンがあるのだが、今回なんと、そのレントゲン写真に怪しげな“影”が確認されてしまった!
ドック終了時の医者との対話で、「線状胃潰瘍の疑い」につき再検査となってしまった。

それは即ち胃カメラを飲むこと!
今まで経験は無かったのだが、聞く話聞く話ことごとく大不評…
おえおえ言いながら太いカメラの管を飲み込む苦しさを訴える話ばかり。
ぎゃあー!ついに来てしまったか…!
と観念しつつ、かかりつけの病院で胃カメラ検査の予約を取り付けた。

イヤやなぁ…

(to be continued)