面白き 事も無き世を 面白く
住みなすものは 心なりけり

柳沢大臣発言と建前の話

2007年02月10日 | ニュースから
遥洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」 柳沢大臣の失言、私の見方  [2/2](日経ビジネスオンライン) - goo ニュース


やはりと言うべきか、愛読している遥洋子のエッセイが柳沢大臣発言を取り上げた。

件の発言については、
「しゃーないよな、このオッサンはこういう考え方なんやから」
と思うのだが、遥洋子の言う“建前上許されない発言”であるという点は、なるほど♪
「建て前さえ作れないこの国の混迷が、少子化を生み出している一因であることに、まず気づいてほしいものだ。」
言い得て妙見さんである。

その昔、諸外国(いや、アメリカからと言った方が適切か)から「日本人は建前と本音を使い分け、何を考えているのか分からない!」とんでもない民族である、というように非難され、国内でも段々とホンネで話すことが良く建前は悪いこと、とするような風潮がはびこったことがある。
その旋風の結果、妙に中途半端な建前が闊歩し出したような気がするのだが、それが遥洋子が指摘する現在の“混迷”につながっているのではないか。

そんなもん、互いにホンネばっかりぶつけ合ってたら、まとまるものもまとまらないし、物事は前に進まない。
本心をオブラートに包んで相手との妥協点を探りつつコミュニケーションを図るというのが“オトナの会話”というものだろう。
そういう“オトナの文化”が日本独特の“恥の文化”を生み、日本の文化的成熟を形成してきていたのに、たかだか数百年の歴史しかない“コドモの国”アメリカに盲従してきた結果、何がなんだか分からない国に成り果ててしまったのではないだろうか。

エッセイから話は飛躍したが、自分は決して国粋主義者でも何でもない、小心なリベラリストの一市民であることだけ、お断りしておく。
(なんか前にもそんなこと書いたような…)


「かぞくのひけつ」

2007年02月10日 | 映画
初めて宮本輝の小説を読んだときのような、自分の琴線をわしづかみにされた感覚。
「春の夢」、「青が散る」、物語は似ても似つかないのだが、全編大阪弁溢れる“十三テイスト”に、引き込まれずにいられなかった。

賢治(久野雅弘)は典子(谷村美月)と付き合っている。
二人で映画を観に行った帰り、賢治を後ろに乗せて自転車をこぐ典子は、十三淀川べりのラブホ街へと進入し、そのまま一件のホテルへ突入する!
ところが、賢治は慌てて飛び出してしまう。
「何で?イヤなん?ワタシのこと嫌いなんや!」
そら、そう言うわな。
しかし賢治には、典子に“手を出せない”、人には言えない理由があった。
性病に罹っている疑いがあるのだ!
女性との“交渉経験”の無い彼には、まず間違いなくありえないのだが、そういう方面の知識不足も手伝って、本人は真剣に悩んでいたのだ。
トボトボと不動産屋を営む自宅に帰ってきた賢治に、オカン(秋野暢子)が声をかける。
「あんた、バイトせぇへんか?」
1万円でオトン(桂雀々)の浮気調査を引き受けた賢治は、案の定浮気していたオトンと愛人(ちすん)を見つける。
オカンを気にして先に帰ったオトンと別れて帰宅する愛人を尾行していた賢治は、逆に愛人に尾行を知られてしまう。
仕方なく愛人・大澤ゆかりに委細を話す賢治。
「優しい人やから、奥さんには言われへんねんわ」
と、オカンに直談判すると息巻く愛人を止めた賢治は、家に帰ってオカンにオトンの浮気は思い過ごしと説明した。
翌日、賢治が帰宅すると、オカンが若い女性を面接していた。
「おかえり。こちら、新しくバイトで来てもらう大澤ゆかりさん」
なんと!あのオトンの愛人がバイトとして乗り込んできたのだ!!
典子との関係は?本当に性病に罹ってるのか?バイトとして乗り込んできた愛人とオトンとオカンの行く末は??

思春期の男子によくある“性の悩み”を持つ賢治。
煮え切らない賢治の態度からイケメン同級生によろめく典子。
どうしようもなく女にだらしないオトン。
浮気癖の改まらない夫に怒り呆れながらも別れずにきたオカン。
愛人としての後ろめたさを微塵も見せずに堂々と乗り込んできたオトンの愛人・ゆかり。
とことん弱っちい男達と、圧倒的に逞しい女達。
この人間模様は、大阪テイストがなければ、笑って泣けるテンヤワンヤの人情喜劇にはなり得ない。
この話の展開を標準語でやったら、ただイヤらしいだけの鬱陶しい映画になってしまう。
独特の粘着性を持つ大阪弁ならではの妙味を最大限活かした佳作。

あの“カルト芸人”テントの怪演も必見!
…て、あれって演技や無くていつもの舞台芸やんか!?
そやけど、劇中でテントが歌いだす「行き先は若者」が、物語にじわ~…と染み込んでコクを出しててエエねんなぁ、これが。

あの「ブラック・レイン」以来の(?)十三ロケを敢行した本格的関西ノリムービー。
セレクトされる作品が心憎い第七藝術劇場の再開記念作品としてロングラン上映中。

かぞくのひけつ
2006年/日本  監督:小林聖太郎
出演:久野雅弘、秋野暢子、桂雀々、谷村美月、ちすん

くじらにまつわるエトセトラ

2007年02月10日 | ニュースから
グリーンピースも鯨を食べてみた ソフト路線に活動転換(朝日新聞) - goo ニュース

あの捕鯨絶対反対集団(偏見有り過ぎな表現か?)グリーンピースが路線変更したとか。
メンバーが千葉の元捕鯨基地の町で鯨料理を食べた。
画期的な話ではある。

この他にもグリーンピースでは、ネットテレビの番組で、日本各地を旅してまわり、鯨と日本の伝統文化との関わりを探訪する模様。
過去の強硬路線はどこへやら、180度近い方向変換はどうしたことだろうか?

脂を取るためだけに鯨を獲っていたいた欧米のアホアホ捕鯨と捕まえた鯨を食用のみならず余すところ無く活用する日本の捕鯨とを同一視したうえに、鯨は人間と同じ哺乳類で知能レベルも高い動物だから食べることはまかりならん!と屁理屈こねて日本叩きに奔走していたあの“緑平和軍団”の突然の転換は、何か裏があるのではないのか?と勘ぐってしまうが…