功夫電影専科

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『痩せ虎とデブゴン(痩虎肥龍)』

2013-05-21 21:37:03 | 洪金寶(サモ・ハン・キンポー)
「痩せ虎とデブゴン」
原題:痩虎肥龍
英題:Skinny Tiger and Fatty Dragon
製作:1990年

●本日紹介するのは、デブゴンの名を冠した(現時点で)最後の作品です。主演は洪金寶(サモ・ハン・キンポー)と麥嘉(カール・マッカ)、監督はラスボスも兼ねている劉家榮(ラウ・カーウィン)で、奇しくもデブゴン映画の初期を支えた3人が再結集しています。
しかし彼らを取り巻く状況は、『豚だカップル拳』を撮った70年代末期から大きく変化していました。サモハンは古巣のゴールデンハーベストを抜け、麥嘉が設立に関わった新藝城企業有限公司(シネマシティ)も90年代を境にペースダウン。それぞれが苦闘の時代を送っていたのです。

 そんな彼らが集まり、かつて自分たちが得意としたジャンルの再演に臨んだのが、この『痩せ虎とデブゴン』です。
サモハンは『燃えよデブゴン』の時と同じ李小龍マニアを、麥嘉は『悪漢探偵』を思わせるお調子者の女好きをそれぞれ好演。そのため90年代の作品とは思えないほど古臭い印象を受けますが、時流に関係のなくなった今だからこそ楽しめる作品と言えるでしょう。
 ストーリーはいちいち細かく書くほどではありません(笑)。おバカな刑事コンビのサモハン&麥嘉が、シンガポール観光や呉家麗(ン・ガーライ)のおっぱいを楽しみつつ、劉家榮率いる麻薬密売組織と戦う様子を描いています。
全体的にかなりゆる~い感じの作品で、呉家麗の扱いなどに疑問を感じるものの、アクションは思ったより激しいものを見せていました。サモハンの李小龍チックな動きは相変わらず完成度が高く、終盤のVSマーク・ホートンでは『ドラゴンへの道』のラストバトルをちょこっと再現しており、こちらも必見です。

 ただ、サモハンの李小龍っぷりは『燃えよデブゴン』より低めで、常に李小龍を意識していた第1作とは趣を異にしています。その代わりオーソドックスな肉弾戦が増えており、最後のVS劉家榮では集団戦・ナイフ2刀流・李小龍が混ぜこぜとなった闇鍋バトルが展開されていました。
たとえ時を経て、自分たちのスタイルが時代遅れになろうとも、己を貫き通した3人の男たち。映画としてはまずまずの出来ですが、本作にはサモハンたちの揺ぎない信念が込められていた…というのは少し考えすぎでしょうか(苦笑

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