功夫電影専科

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『新・年少バトルロワイヤル3』

2015-12-18 23:43:33 | 日本映画とVシネマ
「新・年少バトルロワイヤル3」
製作:2014年

●第1作で極悪署長を倒し、監獄島から脱出を目論んだ中澤達也と虎牙光揮。しかし抵抗むなしく捕えられ、新オーナーである永倉大輔が企画した殺し合いに参加させられてしまう(ちなみに波岡一喜は何の説明も無くフェードアウト)。
弟分の河原田巧也と合流した中澤たちは、第2作でかつての敵・大倉利明を激闘の末に下し、反撃のために手を組むこととなった。そして今回、廃屋で休憩していた一行のもとにゲス野郎の宮崎貴久らが転がり込み、新たな戦いが勃発する。
 宮崎たちは、第2作で新たに入所したクレイジーな3人組に追われており、応戦した中澤たちは犠牲を出しながらもこれを撃破。自分たちが首に埋め込まれたGPSで監視されていた事を知るや、一致団結して反撃に転じていく。
決戦の中で1人、また1人と死んでいく仲間たち。そこへ最強の敵である新署長・松田優が再び立ちふさがる!

 本作は、以前紹介した『新・年少バトルロワイヤル』の続編です。こちらは近年のVシネ格闘アクションの中でも有数の逸品で、荒々しい作風も気にならない豪快なアクションが見ものでした。
しかし第2作の『新・年少バトルロワイヤル2』では、なんと監獄アクションのフォーマットをかなぐり捨て、ストーリーが完全に本家『バトルロワイヤル』と化してしまうのです。
 特に永倉が「これから殺し合いを始めてもらいます」的な宣言した後に、従わない者を殺害して「俺が殺しちゃダメだよなぁ」と呟くシーンに至っては、もはや単なるパロディにしか見えません。
また、『ファイナルファイター』や『龍王』で名を馳せた松田優が参加しているにも関わらず、アクションレベルが低下している点も問題といえるでしょう。

 そして本作では『バトルロワイヤル2 鎮魂歌』のパロディを敢行し、「すべての大人に宣戦布告」チックな発言まで飛び出していました。まぁ流石に“今度は戦争だ”と言い切れるほどボリュームアップはしていませんが(苦笑
しかしこの『バトロワ2』要素は完全に蛇足で、先の発言が出てくるクライマックスの演説シーンでは、単なるチンピラだった中澤が突然この台詞を口走るため、明らかに浮いたシーンとなっています。
物語についても大したことは無く、特にこれといって特筆すべき点はありません。ただ喚いてばかりで強そうに見えないクレイジー3人組、ド外道なのにしれっと仲間入りする宮崎など、雑さについては今まで通りといった感じでした。

 さて、一番気になるのがアクションの出来ですが、こちらは不振に終わった第2作から挽回を果たしていました。序盤のクレイジー3人組との戦闘では、虎牙がフライパンで軽やかに攻撃を受け流し、中澤&宮崎という異色のタッグが結成されます。
そしてクライマックスにおいて、遂に待ちわびていた虎牙VS松田というドリームマッチが実現するのです! この両者は日本有数の武打星でありながら、本格的なタイマン勝負はほとんど実現していませんでした。
 『新・日本暴力地帯』では松田があっさり斬られて死亡、『不動2』では逆に虎牙が人質を取られて死亡、『もう一つの柳川組 木槿の花』では対戦すら無し…。第2作でも手合せこそしていますが、ここでは中澤たちと協力しての乱戦となっています。
そうしてヤキモキしながら迎えた今回の大一番ですが、さすがに第1作の虎牙VS山口祥行ほど完成度は高くないものの、なかなかのバトルに仕上がっていました。
まず虎牙のダブルトンファーと松田のヌンチャク(『死亡遊戯』仕様!)が激突! 決着はつかず、素手による戦いに発展するも、相手の豪拳に虎牙は苦戦を強いられます。更に松田は酔拳まで繰り出し、ますます旗色は悪くなりますが…。
 正直言って思うところは幾つかあります。李小龍かぶれの松田が酔拳を使用するくだりは唐突だし、第1作のようなケレン味ある台詞の応酬も無く、殺陣にも思い切りが足りません。
しかし、90年代を代表する格闘スターVS現在を担う武闘派アクターという構図は、なかなかに興味深いのも事実です。今回もラストバトルで中澤が放置されますが(爆)、この顔合わせだけでも見る価値が大いにあると言えるでしょうね。
第1作を超えることは叶わずとも、十分に存在感を示してのけた本作。虎牙も松田もまだまだ共演の機会はあると思うので、次なる2人の大勝負に期待したいと思います!

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
李小龍かぶれの悪役が強いのは珍しい (二白桃)
2015-12-28 21:54:13
こんばんは。ご無沙汰しております。

一作目を超えるのは難しいだろうなと思っていましたが、
やはりでしたか。
しかも二作目が一番見所が少なそうなので、
私が見るのはだいぶ先になるでしょうね・・・

余談ですが、私が一番実現してほしい夢の顔合わせは、
マーク・ダカスコス対マーク武蔵の混血功夫使い対決です。
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返信。 (龍争こ門)
2015-12-31 23:34:32
二白桃さんこんばんは、お返事お待たせ致しました。

>一作目を超えるのは難しいだろうなと思っていましたが、
>やはりでしたか。
 やはりでした(苦笑)。まず明らかに予算が減っており、アクションの勢いも衰えを感じました。どうにか第1作のテンションを持続して欲しかったのですが…う~ん。
マーク武蔵に関してはあまり存じ上げませんが、ダカスコスとは『仮面ライダードラゴンナイト』で一緒に仕事をしているようなので、その縁で接触してくれる事を願いたいですね。
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