功夫電影専科

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『ブラック・ダイヤモンド』

2013-05-16 23:22:44 | 李連杰(ジェット・リー)
「ブラック・ダイヤモンド」
原題:Cradle 2 The Grave
中文題:同盜一撃
製作:2003年

●宝石強盗グループを率いるDMXは、金庫破りの最中に謎の男・李連杰(ジェット・リー)から、「ブラック・ダイヤモンドに手を出すな」と忠告を受ける。だが彼はそれを無視し、奇妙な黒いダイヤの粒を盗み出した。
実はこの黒いダイヤ、マフィアのマーク・ダカスコスが武器商人に売り込もうとしていた大変な代物だった。彼はDMXの娘を人質にして返還を迫るが、当のダイヤは裏社会の大物であるシャイ・マクブライドに横取りされてしまう。DMXは李連杰と協力し、それぞれの方法でダイヤの行方を追った。
しかし彼らの苦労も虚しく、先回りしたマークによってシャイとその部下は皆殺しにされ、ダイヤは奪われてしまう。絶望的な状況の中、娘からの連絡によって敵の居場所が発覚。DMXと李連杰は仲間たちと共に、凶悪なマークの一団に立ち向かっていく…。

 前回が『ロミオ・マスト・ダイ』だったので、今回もアンジェイ・バートコウィアクの監督作をひとつ。本作は『ロミオ~』『DENGEKI 電撃』に次ぐ、DMX3部作の最後を飾る1本です。
主演のDMXは前々作で脇役、前作で主人公のライバルを演じており、とうとう本作で主演の座を射止めたことになります。しかし、彼が主役になってもアンジェイ監督の作風は変わらず、今回も軽いストーリーや代わり映えのしないアクションで構成されていました(DMXの「娘を愛する父親」という役柄だけは前2作より評価できるのですが)。
一方、動作設計は『ロミオ~』に続いて元奎(ユン・ケイ)が勤め、不評だったCGやワイヤーワークを撤廃。よりアクション色を強めていますが…アンジェイ監督の悪い癖である「肝心なところが徹底されていない演出」により、またも問題が生じていました。

 まず中盤で李連杰が賭け試合に挑む場面があり、ここで後に『エクスペンダブルズ』で仲間になるランディ・クートゥア(!)と対峙します。実に興味深いカードですが、このとき李連杰は戦いに乗り気ではなく、何度か手合わせをしただけですぐに戦いが終わってしまうのです。
また、終盤では李連杰VSマークという夢の対決が実現するものの、DMXらの戦いがチャカチャカと挿まれるせいで勝負に集中する事ができません。尺自体も短く、せめて『ロミオ~』のVS王盛(ラッセル・ウォン)戦くらいバチバチやりあって欲しかったですね。
 結果的にDMX3部作はヒットを記録しますが、どれも典型的なB級アクション映画でしかなく、過度な期待をしていると必ずや肩透かしを食らうことになります。
とりあえずアクションなら『ロミオ~』、顔合わせを楽しむなら本作、セガールを堪能したいなら『電撃』がお薦め。休日の昼下がりに、頭をカラッポにして見るには最適の作品群といえるでしょう(というかそれ以外の何物でもありません・苦笑)。

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