功夫電影専科

功夫映画や海外のマーシャルアーツ映画などの感想を徒然と… (当blogはリンクフリーです)

『ドラゴンカンフー・龍虎八拳』

2007-06-03 13:12:04 | カンフー映画:傑作
「ドラゴンカンフー・龍虎八拳」
小子命大
The Avenging Boxer
1979

▲しばらく更新を落としていたので、今回からは大々的に"知る人ぞ知る"功夫映画の名作を幾つかピックアップしていきたいと思います。
…かつてジャッキーの『酔拳』が大ヒットしたことによって、似たような作品が大挙して作られた。一つの作品が人気になると誰もが真似するのは世の常だが、その中には時折傑作も混じっていたりするから油断は出来ない。本作はそんな頃に出来たコメディカンフーものの一つで、主演は張繼龍(ピーター・チャン)という人で、顔は地味だが動きは一級品。冒頭に龍飛(ロン・フェイ)も登場しているが、本作の肝はラスボスで登場する韓国出身の蹴技武打星、[上下]薩伐(カサノバ・ウォン)だ。[上下]薩伐が日本で大々的に有名になったのがこの作品といっても過言ではない、まさに[上下]薩伐のベストパフォーマンスが見られる映画である。

■狩りの帰り道、談笑する幸せそうな親子の姿があった。ところがその静寂もすぐ破られる事となる。張繼龍の父・龍飛を狙って、殺し屋の[上下]薩伐が現れたのだ。龍飛はむかし悪党と組んでいたが、その後決別してボスの証である金杯を奪って逃走していたのだ。現ボスの命令でやってきた[上下]薩伐は、その凄まじい蹴りで龍飛を殺害するが、結局金杯は見つからなかった。実は、金杯は隠れていた張繼龍が龍飛から託され持っていたのだ。腕が未熟な張繼龍は隠れるほかなく、目の前を悠々と通りすぎる仇に手を出すことはできなかった。
それから張繼龍は叔父の京劇一座で働くことになった。ある日、彼は観衆の中に[上下]薩伐の姿を見つけて掴みかかった。叔父達に奴こそが仇と告げるが、叔父は「今は耐え忍べ」と忠告される。別の村に移動した張繼龍たちの一座は、ヒロインに寄ってくるオヤジとのトラブルや、謎の小僧に金杯をすられるなど問題が多発。張繼龍は勘当されてしまった。知り合った易者のじいさんのところへ来た張繼龍は、打倒[上下]薩伐の為にじいさんから特訓を施される。
一方、[上下]薩伐は金杯を持っていた小僧(易者のじいさんの弟子)を殺害して金杯を手に入れ、あまつさえヒロインの父(彼も龍飛と同じく、かつて悪党だった男)も蹴り殺される。同じく組織から抜けていた叔父は、京劇一座をたたんで組織のボスと対決し、辛くも勝利する。残る[上下]薩伐の元へ来た叔父は、金杯を手にした[上下]薩伐が組織をのっとろうとしていることを知り、激闘が始まる。結局は冷酷で容赦のない[上下]薩伐の蹴りに、また一人犠牲者が出てしまう事となったが…。
残ったのは張繼龍とヒロインのみ。二人は皆の仇を打つため罠を張りに張った穀物倉庫に[上下]薩伐をおびき出し、最後の戦いを挑むのだった!

▼この話は王道パターンの復讐劇に違いないだろう。だが問題は[上下]薩伐!冗談のような蹴りの威力をアピールする[上下]薩伐の迫力がとにかく凄いんですよ!ラストは穀物倉庫で『ドラゴンロード』よろしく立体差を生かした決闘を展開しますが、こちらも壮絶!おかげで主役の張繼龍が霞んでしまい、本末転倒な結果になっています(そのせいなのか、張繼龍はその後は大した活躍も無かったという…)。[上下]薩伐はこれ以外に日本でリリースされたタイトルは『ブルース・リの逆襲』『妖刀斬首剣』ぐらい。だがこの[上下]薩伐には『燃えよデブゴン10・友情拳』『通天老虎』等々、その出演作には秀作が多い事も知られています。これからは[上下]薩伐出演作も要チェック?

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めまして。 (ひろき)
2013-09-24 21:26:06
龍争こ門さん、こんばんは。
初めまして。
龍熱さんのブログから、そして、「ドラゴンカンフー 龍虎八拳」に関して、検索していたら、こちらのサイトに辿り着きました。
宜しくお願い致します。
アクロバット色の強いクンフー映画が大好きなので、本作は、とてもお気に入りの作品なんです。
なので、コメントさせて頂きました。
本作は、もう、テレビ、ビデオ(VHS)、DVDで、何度、繰り返して、見たか分からないほど、大好きなクンフー映画ですね。70年代後半から80年代前半位に制作された、コミッククンフー映画の王道的な復讐劇で、内容的には、目新しさはないのですが、アクションが素晴らし過ぎて、引込まれました。格闘、格闘の連続!出演者のどなたも、動きが良くて、どのクンフーバトルも、正に、名勝負でした。
特に、カサノバ・ウォンの連続スピンキック、側転からのカンガルーキック、空中開脚三段蹴りなど、テコンドー仕込みの多彩な足技とピーター・チャンの京劇仕込みの超人的なアクロバティッククンフーに度肝を抜かれてしまいました。
ピーター・チャンのアクロバットは、オーソドックスなバク宙や宙返りはもちろん、高所からのバク宙、側宙、エビ反り連続前方回転など、神技連発!バタフライツイストなども、アクションに取り入れていたので、最近、海外で、流行しているマーシャルアーツとアクロバットやブレイクダンスなど様々な要素を融合させた魅せる格闘パフォーマンスであるXMA(トリックング)の元祖と言っても、過言ではないと思います。(個人的な意見になりますが・・・。)
ユン・ピョウ主演の「モンキーフィスト・猿拳」の縄跳びクンフーも、縄跳びしながらの前宙、バク宙、跳ね起き、ハンドスプリング、540ダブルなどのユン・ピョウの曲芸的な動きは、ダブルダッチに近い印象を受けました。
恐らく、70年代後半の京劇をベースにしたアクロバティックなクンフー映画の一連の動きって、後のXMAなどのエクストリーム系のパフォーマンスに影響を与えたのでは?って個人的には思っています。
あの頃のアクロバティックなクンフー映画に一番近いことをやっていて、尚且つ、XMA、パルクールなどの斬新なアクションも、取り入れているのがトニー・ジャーだと思います。
そらから、カサノバ・ウォンのベストパフォーマンスが見れる「通天老虎」、面白そうですね。
アクロバット系やキッカー系の武打星が入り乱れてのラストバトルが凄いですよね。
日本版のDVDがリリースされれば、嬉しいのですが、難しいですよね。

あと、龍争こ門さんは、ジョセフ・クオ監督作品で、サイモン・リー&ジャック・ロン主演の
「The Mystery of Chess Boxing (Ninja Checkmate) (1979)」って言う作品ごご存知ですか?
ラストバトルが宙返り系のアクロバットがこれでもか~って言う位に満載で、見てみたいんですけどね~。
長文になって、失礼致しました。
それでは、失礼致します。
返信する
返信。 (龍争こ門)
2013-09-28 00:37:33
 ひろきさんこんばんは、そして初めまして。お返事お待たせ致しました。
今回はコメントありがとうございます。

>本作は、もう、テレビ、ビデオ(VHS)、DVDで、何度、繰り返して、見たか分からないほど、大好きなクンフー映画ですね。
 本作はひろきさんのお気に入りなんですね。私もこの作品はコメディ・カンフー映画の中でも特に優秀な一本だと思っています。

>70年代後半の京劇をベースにしたアクロバティックなクンフー映画の一連の動きって、後のXMAなどのエクストリーム系のパフォーマンスに影響を与えたのでは?
 確かに、もともと京劇は武術と非常に密接な関係があり、華麗な立ち回りを見せる格闘系パフォーマンスとは相通じるものを感じますね。
仰るように、トニー・ジャーの驚異的なポテンシャルは往年の功夫映画を彷彿とさせます。本当なら今以上の大スターになっていてもおかしくなかったのですが…。

>「通天老虎」
>「The Mystery of Chess Boxing (Ninja Checkmate) (1979)」
 前者は[上下]薩伐をはじめとした功夫スターたちのアクションが凄まじかったですね。私は海外版のVCDを所有していますが、日本語字幕付きで改めて見てみたいです。
後者は『雙馬連環』のことですね(当ブログにも記事があります)。これもコメディ・カンフーの良作で、ラストの決闘は圧巻でした。
返信する
親切丁寧なご返信、ありがとうございます。 (ひろき)
2013-09-28 06:53:05
龍争こ門さん、おはようございます。
「ドラゴンカンフー・龍虎八拳」、「カンフー風林火山」へのコメントに対しての親切丁寧なご返信、誠にありがとうございます。
とても嬉しく思います。
これからも、宜しくお願い致します。

>前者は[上下]薩伐をはじめとした功夫スターたちのアクションが凄まじかったですね。私は海外版のVCDを所有していますが、日本語字幕付きで改めて見てみたいです。
後者は『雙馬連環』のことですね(当ブログにも記事があります)。これもコメディ・カンフーの良作で、ラストの決闘は圧巻でした。

『雙馬連環』、正にその作品です。
さすが、龍争こ門さん。
ずっと、原題が分からなかったので、助かりました。
ありがとうございます。
早速レビューを拝見させて頂きましたが、とても見応えのあるクンフー映画のようですね。
確かに、日本で、ソフト化されたことのある「ドランクマスター・酔仙拳」とキャストが似通っていますが、アクションに関しては「雙馬連環」の方が、一枚上のような気がします。かなりアクロバット色の強いクンフー映画だと認識しています。サイモン・リーやジャック・ロンって、あれだけ、飛び跳ねることの出来る武打星だと思っていなかったので、驚きです。ユエンお爺さんも、引っ張りだされているとは、更に驚きました。
益々見てみたくなりました。
「通天老虎」と「雙馬連環」、日本版のDVDのリリースは難しそうなので、何とか、海外版を探してみたいと思っています。でも、中々、見つからないんですよね。
それでは、失礼致します。
返信する
返信。 (龍争こ門)
2013-10-01 02:23:39
ひろきさんこんばんは。

>早速レビューを拝見させて頂きましたが、とても見応えのあるクンフー映画のようですね。
 飛び抜けて凄い作品…というわけではないのですが、特別ゲストや多彩な功夫アクションなど、個々の描写は実にしっかりしていました。
一方、『酔仙拳』はアクションが手堅い出来だっただけに、話の支離滅裂さが惜しまれます。李藝民や龍世家についてはまだ未見の作品が多いので、これからも当ブログで紹介していきたいですね。

>「通天老虎」と「雙馬連環」、日本版のDVDのリリースは難しそうなので、何とか、海外版を探してみたいと思っています。
 最近は『通天老虎』の海外版も見かけなくなってしまいましたが、『雙馬連環』に関しては海外のDVD販売を行っている日本のサイトで購入が可能なようです。
正式な英題の「The Mystery of Chess Boxing」よりも、別題の「Ninja Checkmate」で検索した方が見つかりやすいと思います。
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