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一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『ハピネス』

2013-02-28 | 乱読日記
桐野夏生は、日常の不安感や焦燥感、イライラ感を会話と登場人物の思いの微妙なすれ違いで浮き彫りにするのが上手い。

今回はタワーマンションを舞台としたママ友の話。
モデルになったと思しきマンションに知り合いが住んでいるが、取材が行き届いていてリアリティがある。
他の作品に比べて毒気は少ないが、徐々に毒が身体に回っていくような怖さがある。
実際の「ママ友」もこんなもので、日々こういう日常を生きている人にはインパクトは少ないのかもしれないけど(そのことの是非はさておき)。


男女、年齢、置かれた状況によって受け取り方が異なる作品だと思う。
逆に言えば、どこの部分を受けとめようとするかによって意味合いが違ってくるのかもしれない。
姉の結婚を違う立場から切ったという見方もできるか。


終章は雑誌連載から単行本化にあたって新たに加筆したようだ。
確かにこれがないと名人の語りだけでインパクトが足りないので謎解きの要素も入れた「下げ」をつけて一つの作品にまとめたのだろうか。
その結果読者は最後に一定のカタルシスを得られるが、中途半端なまま放り出しても面白かったかも知れない。






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