一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

駅弁の女王

2006-09-03 | 乱読日記
タイトルを見て、よからぬことを考えたアナタは、既に立派なオヤジですw


今や時代も変わり、駅弁(や飛行場の「空弁」)も進化していて、『ニッポン駅弁大全』という本まで出ています。それを書かれた小林しのぶさんという女性が「駅弁の女王」その人です。


私も今朝ゴルフに行く途中にJ-Waveの番組に彼女がゲストで出ていて初めて知ったのですが、隠れ「乗り鉄」元時刻表少年としては、なかなかツボに入った番組でした。

何しろ彼女は停車するすべての駅で駅弁を買うので網棚を占拠してしまったことがあるとか、北九州市の折尾(おれおおりお)駅(鹿児島本線と筑豊線が交差する駅)にいる蝶ネクタイとストライプのシャツがトレードマークの名物立ち売りおじいさんに会いに、福岡に出張するときには用がなくても折尾駅まで駅弁を買いに行く、というフリーク度合い。

上の本では534食の駅弁を紹介していますが、彼女が実際に食べた駅弁の数は2000食以上だそうです。

もうひとりのゲストのSOTOKOTO(番組のスポンサー)の副編集長の男性もなかなかの通人で、高崎駅(彼の出身地、「0番線」が一部には有名)のだるま弁当への愛着などを熱く語ってくれました。
(でも、だるま弁当は昔は陶器の器だったのが今はプラスチックになってしまったそうで、家に持って帰って灰皿や壁掛けや貯金箱などに使うという楽しみが半減してしまいましたのは残念。)

そして、駅弁を食べ始めるタイミング論(妙にあせった風にみせるのもかっこ悪い、とか、旅情的には風景が変わるあたりが一番いいとか、駅弁の女王は駅弁にはまったきっかけが日本酒のつまみにするという動機だったのでやはりお酒を飲むタイミングだとか)から、駅弁のおかずをどういう順番で食べるかの話に。

ここで副編集長氏は「駅弁おかずローテーション」の深遠さを初めて解き明かした泉昌之のデビュー作「夜行」(『かっこいいスキヤキ』所収)に言及したあたりで、運転中にもかかわらず思わず膝を打ってしまいました。

この作品は、トレンチコートに身を包んだ男が夜行列車の中でいかにハードボイルドに駅弁を食べるかについて葛藤したあげくに悲劇的な結末を迎えるという、これも一部では有名な作品です。


実際、駅弁を食べるタイミングというのは駅を出てしばらくして何となく皆食べ始めるという空気感があります(東海道新幹線で新横浜に着く前から既に食べ始めている人は旅情でなく空腹優先だとわかるとか)。

以前仙台からの帰りに牛タン弁当を買って同僚と新幹線に乗ったことがありました。
仙台を出発してしばらくすると、社内も三々五々弁当を食べようか、という雰囲気になります。
われわれの買ったのは紐を引くと容器の下の塩化カルシウムと水が混ざって発熱し、弁当があたたまるタイプのものでした。
通路をはさんで反対側の女性も同じ弁当で、彼女の方が少しだけ容器を開けたそのとき、列車がガクンと急ブレーキをかけ、その拍子に彼女の弁当は床に落ちてしまいました。
幸い中身は無事だったのですが、下の水がこぼれてしまい、彼女は冷たいままの弁当を食べることになります。
それを横目に弁当を温めるわれわれの肩身の狭かったこと・・・


駅弁には、そういうドラマがあります。


(注意)
冒頭の文章がおわかりにならなかった善男善女の方は、間違っても身近のホンモノのオヤジに訊いたりしないでください。
世の中には知る価値がないこと、知らない方がいいこと(知っていること自体が品性を疑われるという意味で)はいっぱいありますので・・・



















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5 コメント

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おもしろそう♪ (Kobanto)
2006-09-04 08:25:00
 今、「かっこいいスキヤキ」をショッピングカートに入れました。

 私は時々、東華軒の駅弁「まぐろの浜ご飯」を、ふつうのお昼ごはんとして食べます。

 (「まぐろの浜ご飯」については、こちらをどうぞご参考に↓

http://www12.plala.or.jp/kobanto_manga/tabi_1.html
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昔は (ユーリャ)
2006-09-04 13:00:52
大きな駅のホームにお弁当売りのオジサンが

箱を首から下げて「べんと、べんとー」と売っていたことを思い出します。

昔は窓が開いたので、その窓越しに駅弁が売り買いされたものでしたね。

少し前まで博多駅のホームにはまだいたけど、今はいるのかなあ。

あ、そうそう折尾は「オレオ」ではなくて「オリオ」だと思います。オレオだと甘そうな気がします。
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OREO (go2c)
2006-09-04 22:37:23
Kobantoさん

実は私も手元に持っていなかったので、懐かしくて注文してしまいました。

旅日記拝見しました。踊り子号などがあるのでまだ在来線でも駅弁が盛んなんですね。

横浜方面に行ったときにチェックしてみます。



ユーリャさん

ご指摘ありがとうございます。おっしゃる通り「オリオ」が正しいですね。

実はWikipediaまで見て確認していたのに(これもまたご明察の通り)話を「OREO」に展開しようなどという下心がタイポになってしまいましたw

あまりネタに走るのはいけない、という教訓にします。

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だるまべんと (ろじゃあ)
2006-09-04 23:08:17
だるま弁当のプラスチックのフタは貯金箱を前提に穴が開けられてますね。

これほど酒の肴にあう弁当はないと思ってますが、うちの相方は純粋に煮物がおいしくて好きだそうっす。

『駅弁の女王』のフレーズ、ブロガー魂を奮い起たせますよね、これ。腰痛持ちのろじゃあには…あっ、すいません(^^;)(;^^)。



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ここにも同好の士が^^ (go2c)
2006-09-05 00:53:27
ろじゃあさんもだるま弁当のファンでしたか^^

「だるま弁当」で検索してみるとかなりの数のファンがいるようで、嬉しいです。

ただ新幹線だと軽井沢や湯沢くらいでは高崎からすぐなので、どうしても手前で買ってしまいます。

やはり駅弁は在来線のテンポがなじみますよね。





PS 奮い起たせるのはブロガー魂だけにしておかれたほうがよろしいかと・・・w
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