一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

セシールへのTOB

2009-05-16 | M&A

セシールにTOB フジ・メディアHD ディノスと合併へ
(2009年5月15日(金)08:05 産経新聞)
通販のセシールも郵便割引制度悪用、2287万円返還へ
(2009年5月14日(木)21:58 産経新聞)

新聞では経済面と社会面に分かれていたのですが、東証の適時開示は決算短信の発表と同時に3つなされています(この順番)

低料第三種郵便物を利用した不適正なDM送付について

株式会社フジ・メディア・ホールディングスの完全子会社である株式会社フジ・メディア・サービスによる当社株式等に対する公開買付けに関する賛同のお知らせ

株式会社フジ・メディア・ホールディングスの完全子会社である株式会社フジ・メディア・サービスによる株式会社セシール株式等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ


TOBも市場内取引なので、未公開の重要事実を知って取引した場合はインサイダー取引になっていまいます。そのため、買収前のデューディリジェンスなどで知った重要事実はTOB前に公表をして「未公開」でなくしておく必要があります。
なので決算発表と同時に郵便不正問題も公表せざるを得なかったのだと思います。 

ちなみにセシールは東証に適時開示したにもかかわらず自社のIRサイトにはこのリリースは載せていません。
他者に比べると少額だしできればこのタイミングで言いたくはなかったのでしょうか。


このTOBはそのほかにもいくつか興味深い点があります。  

まずはセシールの意見表明 

公開買付者が新たに当社の筆頭株主となることにより、フジ・メディア・ホールディングスグループの一員になることが当社の企業価値の向上に資するものと判断し、平成21 年5 月14 日開催の取締役会において、公開買付者の行う本公開買付けに賛同の意を表明する旨を決議いたしました。 

ただし、本公開買付けの買付け等の価格は、公開買付者と公開買付者への株式の譲渡を希望する当社の筆頭株主であるLDH との間の交渉により決定されたものであるため、必ずしも買付け等の価格が当社に係る公正な株式価値を反映したものではない可能性があります。そのため、本公開買付けに応募するか否かについては、株主の皆様に判断を委ねることといたしました。  

TOBには賛成だけど一般株主がこの価格で応じるかどうかについてはノーコメント、というわけです。


つぎはフジのTOBのお知らせ  

(5)本公開買付け後の予定 
本公開買付けが成立した場合、対象者は、フジ・メディア・ホールディングスの間接子会社となりますが、フジ・メディア・ホールディングスは、ディノスと対象者との統合シナジーを最大限引き出すべく、対象者をディノスと合併すること(以下、「本合併」といいます。)を、対象者に要請する予定です。・・・本合併の実施にあたっては・・・利益相反や一般株主を害する不公正が生じることを回避すると共に、保有株式の流動性その他一般株主の利益に配慮した措置を講じる予定です。(対象者の一般株主に非上場のディノスの株式が交付されることとなる合併を行うことは予定しておりません。)   

また、公開買付者は、本公開買付けの結果、対象者の普通株式(対象者の自己株式を除く。)の概ね 80%程度の応募があった場合には、本合併に先立って、公開買付者を完全親会社、対象者を完全子会社とする株式交換の方法(以下、「本株式交換」といいます。)により、対象者を公開買付者の完全子会社とする可能性があります。 

仮に本株式交換を行う場合、完全子会社となる対象者の株主(公開買付者を除く。)に対して、金銭が交付される予定です。

前段はフジ・メディア・ホールディングスの株を交付する三角合併を念頭においているのだと思います。そして、後段の金銭対価の株式交換とあわせて、合併「会社法では新たにこういうことが認められます」というものをフルに使った提案です。

別にセシールを上場企業のままで維持していてもいいわけですが、それだと今あえて株を取得する理由が乏しいとか、「ライブドア」銘柄なので、また痛くもない腹を探られるとかの事情があったのでしょう。
単に提案した弁護士事務所が「やってみたかった」というんじゃないですよね(笑)


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