毎日にもまともな記者がいるのか、たまたまTPPは偏向する必要がないという判断をしたのか、よくわかりませんが、兎も角、ものすごくまともな記事で、三橋さんも毎日に賛成するのは初めてのことだそうです。そのひとつはスクープ記事で、
『TPP:政府、文書に本音 11月表明「米が最も評価」
http://mainichi.jp/select/biz/news/20111028k0000m020158000c.html
これは要するに、三橋さんが、つぎのように書いておられますが、
すなわち、野田政権が必死になってAPECにおけるTPP交渉参加を推進しているのは、別に日本国民のためでもなければ、日本の国益のためでもなく、単に、
「11月のAPECで交渉参加表明すると、アメリカが最も評価してくれるから」
という理由だったという、もう本当に情けないというか、怒り心頭に発するというか、主権国家としては信じ難い話なのです。
『記者の目:TPP交渉参加は本当に必要か=位川一郎
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20111027k0000m070140000c.html
◇輸出依存戦略もう見直す時だ
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の交渉参加問題が大詰めを迎えた。政府は、「アジア太平洋の成長を取り込む」として参加を決めたいようだ。しか し、これ以上海外に依存した成長を目指す戦略は間違っていると私は考える。国民の大多数にとって、TPPのリスクは大きく、メリットはわずかだろう。野田 佳彦首相が参加を思いとどまってくれることを願う。
◇農業、医療などリスクが大きい
TPPについて、慎重派は多くのリスク、問題点を挙げている。関税撤廃で打撃を受ける農業のほか、▽「混合診療」の全面解禁や株式会社の参入で公的医療保 険が縮小する▽遺伝子組み換え作物の表示、残留農薬などの食品の基準が緩められる▽公共事業の発注ルールや日本郵政の簡易保険への影響--などだ。
農業以外の懸念に対し、政府は「交渉対象になっていない」などと説明するが、楽観的すぎる。9カ国のこれまでの交渉で議論されなかったテーマも、日本が加われば取り上げられる可能性があるだろう。慎重派が指摘する項目の多くは、過去に米国が「年次改革要望書」などで日本に要求したものだからだ。また、理不尽な要求は拒否するといっても、国際交渉で主張がすべて通るはずがない。TPPへの不安は、実体のない「TPPおばけ」(前原誠司民主党政調会長)ではないのだ。
影響を受けるのは日本だけではない。TPP加盟国は、ビジネスの「障壁」を除くために国内規制の緩和を求められる。他国でも、医療や食品安全に関する日本 の規制のように国民生活に不可欠なものが、緩和対象に含まれるかもしれない。推進論者は「アジア太平洋のルールづくりに日本がかかわるべきだ」と声をそろ えるが、誰のためのルールなのかと問いたい。
そもそも、輸出や海外進出に依存した経済成長はもはや国民を幸福にしないのでは ないか。輸出主導で景気が回復した03~07年度の間に、企業の経常利益は48%増え、株主への配当金は94%増えた(財務省の法人企業統計)。しかし、 同じ期間に労働者の賃金は0・3%下がった(厚生労働省の毎月勤労統計)。輸出企業が、新興国などの安い製品と競争するために人件費をカットしたからだ。
経済連携を広げ輸出と対外投資を増やしても、利益を得るのは輸出企業とその株主だけで、賃金と雇用は増えない構造と言える。松原隆一郎東大教授は、輸出企業が「国内を牽引(けんいん)するのでなく、切り捨てた」と指摘している(農文協「TPPと日本の論点」)。
◇内需を重視し地域自立型に
むしろ、中長期的な政策の方向としては、国内の需要に注目することの方が重要だろう。 供給過剰(需要不足)の日本経済だが、環境、自然エネルギー、福祉、食などのように、供給が足りない分野はまだ多い。むやみに海外へ販路を求める前に、国 内で必要な製品・サービスが十分に提供され、雇用も確保される経済が望ましい。同時に、税などを通じた所得再配分で格差を是正すれば、中間層の厚みが戻 り、個人消費が増え、景気回復の力にもなる。
特に、グローバル化の対極にある「地域」の役割はもっと評価されていい。 原発やショッピングセンターに象徴される外部からの大規模投資は、あちこちで地域の自立を損ない、コミュニティーを破壊し、人と人の絆など国内総生産 (GDP)の数字に表れない便益が失われた。もう一度、地場の企業や自治体などが主役になって、身近なニーズに応える自立経済を築いてほしい。その際、経 済評論家の内橋克人氏が提唱する「FEC自給圏」、つまり、食料(Food)、エネルギー(Energy)、福祉(Care)の自給という考え方が指針に なるだろう。
貿易には資源を浪費し地球環境に悪影響を与えるというマイナス面があることも、忘れてはならない。食品の遠距離輸送が大量の化石燃料を消費することを示す 「フードマイレージ」という言葉が知られているが、同じ問題はあらゆる物品に存在する。また、消費者は生産地が遠いほど、そこで起きる資源・環境問題を実 感しにくい。例えば、日本などに向けた穀物の生産で米国中部の地下水層が細っていることを、日本の消費者はあまり知らない。安く輸入すればそれでハッピーなのか、改めて考えるべきだ。
「鎖国」の勧めを述べているのではない。日本の関税率は一部を除いて低く、海外からの投資も原則自由。経常収支は約17兆円もの黒字(10年)だ。既に国は開かれ、海外からの果実も十分得ている。言いたいのは、もっと自国の足元を見つめようということだ。 』
ここからは三橋さんの文章
全面的に同意します。日本は自国の足元を見つめなければなりません。
アメリカや韓国のように一部の大企業が巨額の利益を得る裏側で、地域経済が破壊され、国民の所得水準が下がり、自殺率が高まり、失業率が下がらないのでは、国民経済の目的を達成できているとはいえません。地域を含めた「全ての国民が豊かに、安全に暮らす」環境を実現することが「経済」の役割なのです。
無論、マクロ的に正しい政策を実施し、国民経済が成長していったとしても、ミクロ的には失業し、所得が上がらない人がでてきます。しかし、個人というミクロレベルの経済活動にまで介入するのでは、資本主義ではありません。すでに失敗が明らかになった、共産主義です。
現在の民主党政権は、
「成長を目指さず、所得移転(子ども手当て、農家戸別補償など)系の政策で票を買い、国民経済を共産主義チックに破壊する」
と同時に、
「政権がアメリカの閣僚として、グローバリズムという綺麗事の下で、地域経済や社会システム、国民の雇用や安全を破壊する」
と、二重の意味において許されざる存在なのです。
三橋貴明氏、中野剛志氏らの主張を正確に理解している人は、まだまだ少ないと感じます。
この数十年の「改革論議」(構造改革、グローバル競争、自由競争)は基本的には西洋的な「合理化」であって、日本の伝統文化(共同体意識)を随分ずたずた に引き裂いてしまったのではないかと思います。(確かに色々な利権構造を浄化する働きはあったと思いますが、それは新利権が旧利権を叩いているだけのこと だったのではないかとも思います。どうも、アメリカは日本だけでなく、他の国に対しても「旧利権」に憎悪をもたせて、国内で同士討ちさせてきたように思い ます。単なる陰謀論ではなくて、ふつうにアメリカはそういうことをしますよね。)
保守派の中でもあまりそれを疑問に思わず、日米同盟は大事だからということで、「改革」により日本の伝統(共同体意識)が壊されてきたことを、随分軽視されてきてしまったのではないかと思います。
しかし、紙幣を刷らなくなり、公共投資(政府の支出)をガリガリ削って、グローバル競争をやれば、不景気になるのは当たり前で(GDPは政府・企業・個人 の支出の総計だから、みんなが「合理化」し、「節約」をすればするほど、GDPが小さくなり、税収が乏しくなる。そして、「増税」の掛け声が起こるという 悪循環。)日本を弱体化させる経済政策そのものではないかと思うのですが、岡崎大使あたりはどうもこのあたりのことを理解されていらっしゃらないように思 います。それとももっと何か深いお考えがあるのでしょうか?
現実には、沖縄、名古屋、新潟、麻布、池袋、あるいは、水源地、観光地、人材、技術が中国資本に次々に買収されつつあります。これ以上日本が経済的に弱体化していけば、いくら日米同盟があっても、内側から解体させられてしまうと強く懸念します。
日米同盟とTPPは基本的に関係ないと思います。それをからめてくるようなら、これはむしろ日本が主権国家としてものを言うべきで、だからと言って別にア メリカと敵対するわけではないと思います。これ以上の不景気は、日本の国防に関わる重大事だから譲れない、と毅然として主張すべきだと思います。
アメリカは別に日本の国防を考えてTPPを進めようとしているわけではなく、オバマは選挙対策を考え、ユダヤ資本は自分たちの金儲けを貪欲に続けているだ けのことで、やはり、日本の国防とそれを支える経済については私たち日本人が考えなければ、一体ほかにだれが考えてくれるのかと思います。
防衛費の増額、沖縄・対馬など離島への公共投資増大(放っておけばチャイナマネーに飲み込まれてしまいます)、チャイナマネーで日本の資産(土地ばかりで なく、技術・人材も)が買収されるのを防いでいく必要があると思います。今国内の不景気で大揺れするアメリカが、こんなことまで考えてくれているわけがな く、結局私たちは自ら祖国を護るべく、TPPに反対すべきだと私自身は考えます。
三橋貴明氏や西田議員はそこまで露骨には言われていませんが、日本の景気が良くなれば、アメリカからの輸入を増やしてやればよいと言われています。それにも私は賛成です。
アメリカの経済的利益も損なわず、日米ともに共存共栄の道だと思います。
確かに岡崎大使のおっしゃられるとおり、日米同盟は死活的に大切であることに私も大いに賛同しますが、私ごときが申すのは甚だ僭越ですが、あの方はどうも 経済がよく分かっておられないと思います。岡崎大使は防衛費をあと数年以内に増やさないと、中国との軍事バランスが危うくなると指摘されていますが、防衛 の財源はTPPなどから生まれて来るわけはありません。内閣府ですらTPPのメリットは10年間の累計で2.7兆円(1年で0.27兆円、つまり540兆 円の実質GDPのうちわずか0.05%しか増えない)と公式に述べており、これは日本にとってTPPは本当にメリットがないことを告白しているようなもの です。
そんなことより、70年代末から日銀が頑なに紙幣を刷らなくなったことが日本経済の大きな足かせになっているという重大な事実をなぜ指摘されないのか。(それまで日銀は国債の約半分を買いオペで引き受けてきたというのですから、日銀の役割は極めて大きいと思います。)