初夏、睡蓮の花を見に行った飯田市立石は干し柿の産地でもあります。
友人の家で干し柿作りの様子を見せて頂ける事になりました。
友人の家へは下伊那で最も古い立石寺の前を通って行きます。
この付近あちらこちらに柿があり、立石寺の鐘楼の前にも柿の木が・・・
この立石寺、柿の神様としても崇められています。
先日、両親を連れてこの立石寺に来た時、
歴史好きの父は、飯田市の指定文化財になっているこの梵鐘の造りを興味深く隅から隅まで見渡すと
「こんなに古い寺が下伊那にあるとは知らなんだ」と一言。
里山に囲まれた静かな古寺です。
この立石寺のすぐ傍に友人の家があります。
家の中にも軒下にもびっしりと吊るされたオレンジ色の柿ー
オレンジ色の柿すだれに囲まれていると、何だか気持ちまでオレンジ色になれそうな気がします。
この干し柿の風景を見ると、冬がもう近い事を感じます。
冬の保存食として作られるようになったこの干し柿には、
朝晩の寒さや立ち込める霧が自然の甘みを出す為に大切な役割を果たしています。
柿の部屋の障子は、湿気の微妙な調節をしてくれているのだそうです。
このような自然の条件の整った飯田地方では、多くの家で干し柿が作られ、
市田柿と呼ばれて全国で喜ばれています。
柿の実がなくなった柿の木では、色付いた葉っぱが太陽の光を受けて眩しく光っていました。
その中に、小さな柿の実がたった一つ、
摘み取られずに揺れていました。
「小さすぎて干し柿にならないの。鳥の餌になるのよ」って友人が言いました。
鳥の餌でも幸せかも・・・。
作業場も見せて頂きました。
柿の皮は機械で剥かれ、シュルシュルっと皮が飛び出して来ます。
一つ一つの柿の実に、沢山の愛情と手間がかかっていました。
美味しいはずです。
私の実家でも、最近少し元気になった母が、干し柿作りをしていました。
息子の所と北海道の親戚に送らないといけないから・・って
夜が更けたのに、まだまだ終わりそうにありません。
心に残るーいつまでも心に残しておきたいー南信州の秋の風景です。