Genの思いつ記(Gen建築設計所)

人はいろいろであります。いろいろな日常を思いつくままに記録していく建築設計事務所のブログです。

本の紹介(その13)

2009年01月23日 | ブログ

20090123185954 磯崎新の「都庁」:戦後最大のコンペ  平松剛 著  文藝春秋 2008年6月10日 弟1版発行  本体2190円+税  この著者は2001年、「光の教会 安藤忠雄の現場」で第32回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。

いやあ、マイリマシタ。都庁のコンペ(設計競技)が行われたのはボクが学生の頃で、ちょうど卒業設計で悪戦苦闘している時期であって、結果は設計事務所で働いてから知った。その後、実際に展覧会にいってその迫力に圧倒されたコンペ。なつかしい~。476ページに渡る長編であったが、貪るように時間があれば読んでしまった。とてつもなく面白かった。

 

都庁のコンペは1985年の秋から1986年の初頭にかけてのコンペであるから、かなり以前のコンペである。そのエピソード本が今頃出るというのはその膨大なインタビューと膨大な参考文献によるものだと思う。すなわち、かなり詳細まで踏み込んでおり、その当時を知っている人はモチロン今現在活躍中の建築家の若かりし日を描写している辺りは建築家を目指す、若い人たちにも支持されるのではないだろうか。磯崎新とアトリエの人たちの思い、そして磯崎新の師である丹下健三とその所員たち等、様々な人間の歴史と思いをつづった本である。

 

この著者の本は、「光の教会 安藤忠雄の現場」でも読んでそのときも一気に読んでしまったのだが、一層読むものをひきつける文になっているのではないだろうか。コンペの実況中継のような進め方の文章であるが、なぜそうなったかという、一つ一つのキーワードに関して過去のエピソードを紹介しているのであるが、それが見事に最終的には繋がっていて思わず、納得してしまう。著者は元々、早稲田大学院修士課程(建築)まで終了していて、有名構造事務所に勤めた経歴を持ち、建築に関してそうとうあかるい。そういう人が文章を書くと、得てして難しい表現になりがちであるが、非常にわかりやすく、またユーモアのある表現なのだ。

 

学生などには 前著の「光の教会 安藤忠雄の現場」と共に 是非是非、オススメである。実は専門学校の図書館で偶然見つけて すぐさま借りたのである。最近、建築雑誌を読む機会が減っているので情報不足であった。そういえば ここ数年、何度か東京に行っているのだあるが、都庁は見ていない。今度、行く機会があれば 見ておかなければ・・・。それにしても磯崎案が建っていれば 景観は変わったのであろう。想像するだけで楽しい~。


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2 コメント

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年に一度 あの都庁のまん前のホテルに泊まります (のな)
2009-01-24 08:01:13
年に一度 あの都庁のまん前のホテルに泊まります
朝 昼 夜  窓をあけるたびに
圧迫感を感じます
何度か写真にも撮っていますが うまく撮れません
大きなお墓のように見える時もあります
代々木競技場のオリンピックプールまでの石の階段と螺旋形の屋根
あんな美しくて 見あきないものを作った人が・・・不思議です
代々木競技場がピークだったのでしょうか。 (Gen)
2009-01-25 14:24:26
代々木競技場がピークだったのでしょうか。
ダイナミックで名建築ですね~。
どこかで目指す方向が変わって・・・。

都庁の場合は意地のデザインといいましょうか。
被写体が悪い?といい写真が撮れないのでしょうね~。

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