一つ目の設計事務所であるM設計時代のことを書いていきます。
新入社員ということと京都を出て初めて一人暮らしを始めたということで張り切って
4月1日から働き始めました。しかし、なんてことはない、ほとんど役に立たないということ
分かったのは即刻、分かりました。(苦笑)...
当時は手書きであったので、まず線がきたない。文字がきたない。という売り物にならない図面でありました。
シャーペンで書く線というのは回しながら均一に力強く書かなければなりません。
しかし、慣れていないとムラのある見栄えの悪い線になります。しっかり、シャーペンをまわせていないことが原因なのですが。
これにはシャーペンの持ち方が重要です。基本的にエンピツの持ち方が正しくないと
やはりシャーペンの線の引き方もおかしくなします。所謂、スプーン持ち
(その当時、給食が先割れスプーンだったのでその持ち方で鉛筆を持つ子供が多かったようです。)
なのでシャーペンが上手く回せない。これには苦労しました。
今までの癖を直さなくてはいけないので一筋縄では直りません。そこで常にポケットにキャップを
つけた鉛筆を持ちながら、エンピツの持ち方から治しました。
初めて一人暮らししたのは守口市の6畳一間、キッチントイレ付き、風呂無しの部屋でした。
初任給が11万円くらいの時代で家賃が2万円ぐらいでした。お風呂がないので銭湯に通ってましたが。
歩いている間、いつもエンピツを持って、持ち方の練習をしていました。通勤の電車の中でもエンピツを
持って持ち方の改良をしていました。努力とかではなくて、そうしないときれいな図面が書けないということの
真実に対してのボクのやり方でした。
そして、新入社員の仕事もあったのですが、事務所の始まる1時間ぐらい前に行って、新入社員の仕事を済ませ、
30分ぐらい線の練習をしていました。そこの事務所ではポリカラーという三菱の色鉛筆でプレゼン図面を描くということもあり、
1本の線にとてもこだわった時代でありました。
そんなことを半年ぐらい繰り返し、どうにかマシに線を引けるようになったような気がします。ボクは所謂 劣等生でその半年の間、
いろいろと考えさせられることが多く、自分なりに工夫を凝らしましたが実りの少ない半年でありました。
ただ、周りの方にいろいろとフォローしていただき、それなりに楽しんで過ごした半年でもあります。
図面というのは線だけではなく、文字も重要です。そこらあたりをキレイに書けないと見栄えのいい図面にはなりません。
別に見栄えのいい図面でなくても内容が良かったらいいのですが、その当時はキレイな図面をまず書かなければという気持ちが強かったのですね。
今ではコンピューターで書きますから、みんな同じような図面になりますが、手書きの時代は個性的な図面にあふれていました。
そして原図(図面)はたった1枚しかなかったのです。今はPCを使うので何枚でも出力できますが。。。