Genの思いつ記(Gen建築設計所)

人はいろいろであります。いろいろな日常を思いつくままに記録していく建築設計事務所のブログです。

工事費について

2019年03月13日 | ケンチク ウラ話

建売をメインにしているある工務店がある。竣工
検査などで看板を見るととても工事費が安い。
ターゲットは住宅の一次所得者であって若い人が
買うような家を建てている。
 
計算すると売値で坪単価40万円を切る。カラク
リは大量仕入れなのである。その分、選択肢は減
るだろうけど確かに安い。そんな住宅を購入した
人がリフォームしたいと思うと安い価格で考える
のだが、そいう訳にはいかない。
 
だからそういう住宅を購入した人はリフォーム工
事の工事費が高いと感じるだろう。ところがそも
そもそんな価格で出来ないのである。新築時は、
100均みたいに大量仕入れでやすく材料を仕入れ
るが、単品のリフォームになると無理なのである。
 
安く住宅を供給できるのはいいことなのであろう
けど、自由も個性もない。そんな住宅でもいいと
思う人が多いのだと思うが、住宅にはもっとこだ
わって欲しい。働いている人は唯一自分の時間を
大切にできる場所であり、ずっと家にいる人は、
居心地がいいスペースにいるほうがいい。
 
建っていないものはわからないのであり、形にな
ってこそわかるのであるが、そこが設計という行
為の肝だと思う。どんなことを創造できるか、そ
れが素人には出来ないからプロがいる。
 
そんなワクワクするような住宅がいい。そうなる
とそれなりに工事費はかかる。でもそれでも住み
たいと思える住宅を設計したい。


耐震等級3はどうなん。

2019年02月26日 | ケンチク ウラ話

最近、性能評価の検査に行く機会が多いのであるが、
耐震等級3を取っている住宅をよくみる。耐震3とは
建築基準法で定められている基準の1.5倍の強さのあ
る住宅のことである。
 
が、しかし~ここに耐力壁いる?って感じで、どう
も数合わせで耐震等級3を所得していて、リフォー
ムなどライフスタイルのことを考えていないような
気がする。
 
必ず、ライフスタイルは変わるのであって、その変化
に対応しなければいけないのが住宅なのであるはず。
その住宅が対応できないような耐力壁を設定している
のであればおかしいのではないかと思う。
 
地震で被害にあうのは仕方ない。でも地震の方向性に
もよるのであろうが、ここに筋交がいるの?って感じ
です。数字的には正しいのだろうけど。
 
それよりも日常を楽しく面白く暮らすために割り切っ
た方がいいように思う。150年に一度の地震のために
あなたはどれだけライフスタイルを犠牲にしますか。
 
それよりも崩れない、命を保証してくれる程度の耐震
程度でいいのではないか。耐震等級3を取ってもどう
なるか保証はできません。どの規模の地震がくるか予
想できないからです。
 
そう思うと豊かな生活を営める住宅にすべきではない
だろうか。と思うのである。
 


ブロック塀について考えた。

2018年06月22日 | ケンチク ウラ話

倒れたブロック塀は、高さ1.9メートルのプールの基礎部分
の上にブロックを8段、高さ1.6メートルの高さに積んでい
た。「プールの基礎部分を地面と見なすことで、ブロック塀
の高さは法令的に問題無いという考え方もある。(高さ2.2
mまで認められている)が、その下を子どもたちが通ること
を考えれば、安全サイドに立って、道路からの高さで考える
べきだったということになる。(合計3m50cm)
 
高さについてはそういうことであるが、控壁がなかった、継
足し部分の鉄筋に問題があった等、建築基準法違反というこ
とになる。ブロックなどは鉄筋で繋がっているようなものな
ので、鉄筋が一体的になっていないと崩れる。
 
なぜ、こんなことが起こったのだろうか。ブロック塀が耐震
補強の対象外だったということもあるが、ボクはブロック塀
を設置する際の進め方(システム)に問題があるのだろうと
思う。公共事業である場合、方法はいろいろあるが、市が設
計事務所を指定し仕事を発注する。それを市職員が担当者と
して進めていく。
 
ここには完全に上下関係が出来ていて、専門家であり、助言
するはずの設計事務所が言いなりになっている可能性がある。
若しくは忖度して要求を受け入れることばかり考えて都合の
よい解釈をして進めたかもしれない。控壁はない方がプール
サイドが広く使えるし、当時は目隠しフェンスなどあまり無
かっただろうからブロック塀が目隠しするのには簡単であっ
たのだろう。時代性もあったかもしれない。
 
ブロック塀は宮城沖地震(1978年)で被害が多く、注目さ
れて、その後、地震の度にいろいろと被害が出たが、塀とい
うものは簡易なものであり、どうも軽んじられている。国の
耐震補強の対象にも挙がっていない。誰も指摘されないこと
には注意を払わない。
 
実際にブロック塀の基準からするとその地盤によって基礎の
形状も違う。でもそこまで考えられていないのが実情だ。
建築物やそれに附属する塀などは仕上がってしまうと中身は
わからない。その辺りをチェックするのが現場監理であり、
それを軽視してはならないのであるが、どうも附属物である
ブロック塀などは軽視されがちなのである。
 
今回の事件は地震が原因というよりも人災の要素が強いので
あるが、これも年月が経つと軽んじられそうな気がする。
亡くなった女の子ためにもしっかりとしたチェック体制が
必要であると考える。
 



 


名もない設計事務所が思うこと①

2018年06月21日 | ケンチク ウラ話

どうも忙しくなってきてケンチクのこと等、アップ出来て
いない状態が続いている。このブログは一応、設計事務所
としての一面もあるのでたまにはケンチクのことを書いて
みたい。消え去ったシリーズものもあり、そうなるかも知
れないがみている人も少ないので思うことを書いてみよう
と思う。
 
いきなり、専門的なことを書いても面白くもないだろうし、
ちょっと世間では言われない本音部分を書いてみたいと思
う。これはあくまで設計事務所の立場として書くので一般
的でないかも知れない。でも、そういう一面もあるのだと
思ってみていただければいいかと思う。
 
建築の仕事で報酬をもらって、たった32年。自分で設計事
務所を立上げて22年ですが、この間に思ったことを書いて
みます。
 
まずは最初の取り掛かりの、何故、設計事務所に依頼する
のか。これって一般的だと思うが、それは大きな建物の場
合だけである。住宅などに小規模なものは依頼する人は少
ない。
 
理由の一つとして設計料がかかるから高くつく。というこ
とである。でも、よく考えたら確認申請を出すのはどこに
頼んでも同じであり、図面も書かれるのである。なのに、
あるところでは設計料として〇〇万円という少ない料金で
示されている。ん、それで本当にできるのか、と思うので
あるが、そういうのが世間ではまかり通っている。
 
建てる人は、なんだ、それならそこでいいや、となるので
ある。そこでちょっと待った!とねるとん(古い)ばりに思
うのであるが、その辺りの理由は知られていない。知らな
くても安かったらいいという意見もあるが、そうはいかな
いのである。その後、何十年も家と付き合わないといけな
いのである。というあたりから入っていこうかな。
 
最初に、なぜ、設計事務所に依頼するのか。そのメリット、
デメリットを次回は正直に書いてみようと思う。

 


宮脇檀という建築家に思う。

2018年03月05日 | ケンチク ウラ話

事務所の本箱の片隅に黄ばんだ文庫本が
置いてある。「旅は俗悪がいい」という
宮脇檀が書いた本である。
 
この本がとても面白く、読みやすい。
そして恥ずかしながら、初めて宮脇檀と
いう建築家を知ったのである。
多分、1990年前ぐらいだと思う。
ボクが生まれたころには活躍されていた
建築家である。
 
それからは宮脇さんという建築家に興味を
持ち、「宮脇檀の住宅設計ノウハウ」と
言う本に出会う。この本は住宅の考え方の
基本となるポイントがたくさん書かれており、
ボクは何回も読んだ。
 
若いころは、困ったときやヒントが欲しい
時にページを捲り手に取った。
それぐらい影響を受けた建築家である。
 
建物も観に行った。兵庫県豊岡市にある
「斎藤隆夫記念館 静思堂」など近畿で
みられる建物は観て廻った。
 
1998年10月21日に亡くなられた
時は新聞に載っていて、あまりの驚きで
ショックであった。ボクがたまに料理を
するのも、こうやってブログを書いて
いるのも宮脇さんの影響だと思う。
 
とてもダンディな方でスケッチが上手く、
文章は面白い。モチロン、建物もいい。
美しい形に拘り、子供の持ち物でも美しく
ないから駄目だと平気でいって買わない。
食にも大変拘りがあったようだが、
その理由の一つにキッチンを設計するには
料理を作らないとわからないから、という
ことだ。
 
きっと宮脇さんのような生き方に憧れて
いたと思う。宮脇さんのような建築家に
憧れていたと思う。 
懐かしい文庫本をみて思い出したので
ブログでアップしてみた。
一度お会いしてみたかった建築家であった。