「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

青少年と年配者のBPD

2014年01月10日 22時42分25秒 | 「BPDファミリーガイド」より

○ 子供と青年におけるBPD

 症状が1年以上ある場合、 児童期でも BPDの診断は 可能と言われます。

 青年期のBPDの症状は、 成人のBPDのそれと 異なりません。

 臨床家は、 環境がどのように非承認的かを 認識している必要があります。

 例えば、 BPDの子供の 世界観との間のギャップを 埋めることが重要です。

 それは、 家族療法のセラピストと 取り組むことで行なわれます。

○ BPDをもつ年配者

 BPDが 加齢によって落ち着くことを 示す研究がありますが、

 決定的なものではありません。

 さらに多くの 研究が必要です。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕
 

男性におけるBPDの診断

2014年01月05日 22時40分01秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 DSMは BPDの男性の割合を 25%としていますが、

 実際はもっと高いかもしれません。

 BPDの男性について よく分かっていないのには、 幾つかの理由があります。

・ 専門家の援助を求める 男性は少ない

 男性は うつ病など 深刻なメンタルヘルスの問題にも、

 治療を求めない傾向があります。

 傷つきやすさや見捨てられ不安など、

 感情を認めることを  「男らしくない」 と考えているのです。

・ 臨床家の偏見

 メンタルヘルスの専門家が 患者を見るとき、 症状は女性と同じでも、

 男性に対しては BPDを正確に診断できなかったことが 明らかになりました。

 女性が怒ると、 不合理だ, 逆上している, 感情的すぎると評価されます。

 一方 男性の怒りは、 強さや積極性と 見なされることがあるのです。

・ 文化的影響

 男性は、 感情的な脆弱さをあらわにしないように 社会化されています。

 孤独やうつ, 恐れを抱えていても、 感情を見せてはいけないことになっています。

 しかし 怒りは許されています。

・ BPDを持つ男性と家庭内暴力

 見捨てられ不安や、 自分に価値がないことを 恐れる感情は、

 どこかにはけ口を求めます。

 自殺の脅しをしたり、 多くは薬物で 自分自身を麻痺させます。

 激怒や攻撃性など 外に向かう行動化を引き起こしたり、

 支配的でストーカー的な 行動をする人もいます。

 このような攻撃性は、 しばしば反社会性パーソナリティ障害,

 思春期ならば行為障害と 誤診されることもあります。

 結果として 適切な治療を受けられず、 代わりに彼らは投獄されるのです。

・ 性的な行動化

 BPDの男性はしばしば、 買春やマスターベーションなど、

 依存的で強迫的な 性行動に携わります。

 危険な性行動を 自傷の方法に用いる男性は、 次のように言っています。

 「自分に苦痛を与え、 堕落させる必要があったのです。

 パートナーに危険を与えて 途方もない罪悪感を感じ、

 自分が粉々に壊れてしまいました。

 内側にある孤独は とても強く、

 それを鎮めてくれるのは セックスだけだったのです。」

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕