環境的なリスクファクターには、
虐待, 家族と仲間, 非承認的な環境, 親と子供の不適合があります。
o 虐待: 神話と現実
BPDの人の75%が 虐待の経験があると言われています。
しかしそれには 幾つかの問題があります。
まず、 虐待がBPDの原因なら、
BPDの人の4人に一人が 虐待されていないのは何故でしょう。
次に、 相関関係は 必ずしも因果関係ではありません。
虐待, 離別, ひどい子育てを受けた 多くの人は、 BPDを発症せず、
BPDの人のなかには、
これらのリスクファクターの どれも経験していない人もいるのです。
また 75%という数字は、 成人患者の自己報告に基づいていますが、
BPDは 知覚や論理に障害があるものです。
虐待という言葉の曖昧さや データ収集の限界もあります。
75%という統計は 絶対的なものではありません。
生物学的に BPDの要因がある人は、
ほとんどの子供が耐えている 侮辱, 批判, 懲罰に過敏です。
そして、 親が 扱いにくい子供には 批判や懲罰が多くなり、
のちに虐待的として思い出される 可能性があります。
BPDの子供を持つ 親のサポートグループ 「NUTS」 では、
虐待, ネグレクト, トラウマが問題の家族は、 ほとんどないといいます。
虐待的な親は 恐らくグループに参加しないのでしょう。
でも 虐待が関係なくても、 BPDに取り組んでいる家族が 多くいるのです。
(次の記事に続く)
〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕