「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

家族の力学

2014年01月21日 21時48分37秒 | 「BPDファミリーガイド」より
 
 家族のモデルに、 「カープマン・トライアングル」 と呼ばれるものがあります。

 この関係性は 全ての家族に起こり、 次の役割があります。

・ 「被害者」

・ 被害者をいじめる 「迫害者」

・ 飛び込みで被害者を救う 「救済者」

 家族は口論の際、 お互いを負かそうと、 自分が被害者だと主張し、

 相手に迫害者のレッテルを 突きつけようとします。

 役割は常に入れ替わります。

 例えば、 兄弟喧嘩で 母親が弟の肩を持つと、

 母親は 弟にとっては救済者ですが、 兄にとっては新たな迫害者です。

 そこで 兄が引き下がると、 兄は事実上 弟の救済者を演じることになります。

 でも気持ちは被害者のままです。

 カープマン・トライアングルの綱引きは、

 問題解決を阻止し、 混乱と苦悩をもたらします。

 誰が勝っても 両者が惨めになり、 これが問題を二重にします。

 終わりのない争いと、 意見の相違です。

 BPDの人が参加していると、 この力学がより強く、 危険なものになります。

 さらに、 BPDの思考, 感情, 行動の機能障害は、

 中立の立場を見いだすのを 不可能にします。

 自分が被害者だと思っても、

 BPDの人は ノン・ボーダーの人を被害者にはさせません。

 しかし、 BPDの人との 関わり方を変えることはできませんが、

 皆さんが振り回されないよう 選択することはできるのです。

〔「境界性パーソナリティ障害ファミリーガイド」 ランディ・クリーガー(星和書店)
 〈監訳: 遊佐安一郎〉 より〕