「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

12回入所、 「反省の場」 遠く (2) -- 矯正の現場 (8)

2012年01月07日 20時01分17秒 | 罪,裁き,償い
 
(前の記事からの続き)

 古い構造の女子刑務所では、 雑居房と廊下が 引き戸で仕切られているだけで、

 刑務官の巡回のすきを見て、 違う部屋の受刑者と 互いに行き来して話ができました。

 刑務所内で 出所後の連絡先を教え合うことは 禁じられていますが、

 テレビで料理の手順を メモする時に、 材料の分量を 電話番号に書き換えておけば、

 刑務官に見つかることは まずありません。

 女性受刑者は、 教誨 (きょうかい) を受けましたが、

 「お釈迦さまの話は 私たちの罪とは関係ない」 と思いました。

 教材として 助産師などのドキュメントを見ても、

 「それで 窃盗をやめなければと 思えたことは一度もなかった」。

 2006年から、 受刑者に矯正教育を行なうことが 義務づけられました。

 ただ、 窃盗は 犯行までの事情が 受刑者ごとに異なるため、

 一定のプログラムがなく、 各刑務所が試行錯誤を続けています。

 窃盗の受刑者を対象に 勉強会を始めた刑務所では、

 8人ずつのグループで、 どうすれば盗みをしなくてすんだかを 考えさせます。

 罪を悔いる 発言は多いですが、 再犯者を何人も見てきた 矯正処遇官は、

 「彼女らの本心を知るには 限界があり、 態度が良くても 安心しきれない」

 と話します。

 刑務作業を 安全に進める心得を 書くように求められた時、

 ある受刑者は、 別の受刑者に考えさせた文章を 書き写して提出。

 その文章は 模範的な作品として、 工場に向かう廊下に 張り出されました。

 多くの受刑者は、

 何とかうまく 刑期をやり過ごすことだけを 考えているといいます。

〔 読売新聞より 〕
 


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