「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

少年院 指導名目に 「泣かす」 (1) -- 矯正の現場 (9)

2012年01月08日 20時05分17秒 | 罪,裁き,償い
 
 「やってはいけないことだとは 分かっていました。

 犯罪にあたるという 認識はありました」

 広島少年院のN法務教官は、 18人の少年に 24件の暴行を加えたとして、

 特別公務員暴行陵虐容疑で起訴されました。

 同少年院では他に、 法務教官3人と元首席専門官も 同罪に問われました。

 広島地裁はN被告に 懲役2年6月の実刑を言い渡します。

 「陰湿で卑劣な 加虐行為以外の何ものでもなく、

 指導の延長線上の行為として 是認することなど到底できない」
 

 少年院は 刑罰を科すのではなく、 少年に矯正教育を 授ける場です。

 少年たちは 寮生活を通じて 社会性を身に付け、 職業訓練などを受けます。

 しかし 広島少年院では、

 「泣かす」 「つぶす」 という言葉が 教官の間で交わされていました。

 「寮の生活に従わせるために、 怒鳴りつけて泣かす。

 口で言ってダメなら、 暴力をふるった」 と N被告は明かしました。

 少年と教官の 力関係を分からせることを  「泣かす」 と言いました。

 規律違反を繰り返す少年には 殴るだけでは限界があると思い、

 全裸にするなど 精神的にも追い詰めました。

 「殴った少年の 痛そうな表情を見ると、 やっと懲りたなと感じた。

 彼らに 心の底から反省させるには、 手を出すことを必要だと 信じていた」

 一方、 N被告に殴られた少年は、

 「何で自分が殴られなければいけないのか、 全く分からなかった」 と 言います。

 「少年院に入って、 自分のためになったことは 何もなかった」

 少年は院を出たあとも 精神的に不安定な状態が続き、 精神安定剤を手放せません。

(次の記事に続く)

〔 読売新聞より 〕
 


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