先日たまたまネットで、
「境界に生きた心子」 が 香山リカさんの本に 引用されているのを見つけました。
またもうひとつ、 障害学の論文に 取り上げられているのもありました。
香山さんの著書は、 「傷ついたまま生きてみる」 (PHP文庫/2014年) 。
その中の、 心の傷と体の傷の関係を 述べた一節に例示されており、
援助交際で 体を傷つけても心は傷つかない と思っていた女性との
対比がされています。
https://books.google.co.jp/books?id=Am0X4JD4LxsC&pg=PA71&dq#v=onepage&q&f=false
〈逆に、 最初から 「私の心の傷をなんとかして」 と 思っている人もいる。
境界性パーソナリティ障害という 心の病を抱える恋人を持つ男性の
手記 『境界に生きた心子』 (稲本雅之/星和書店) には、
その恋人・ 心子が 「一日中ホテルでいっしょにいたい」 と せがむ場面がある。
しかし、 心子は、 決して からだのつながりや快感を 求めているわけではない、
と男性は知っている。
「『ひとつになりたい』 という表現は、
心子の 究極の一体感への願望を 象徴している。
心子の心には 満たされない欠落した部分があり、
その不全感を補うため、 この上なく緊密な接触を求める。」
しかし、 その後、 心子は 「うつがひどい」 と 外出もできなくなり、
恋人との 心やからだのつながりで、
自分の欠けた部分や 傷ついた部分を 埋めることもできなくなる。
そうなると、 心子は今度は、
逆に カッターでからだを傷つけるような 行為を繰り返すようになり、
最終的には 自分で自分の命を 絶ってしまうことになるのだ。
(中略)
心子は 「からだの一体感さえあれば 心の傷も癒える」 と 思っていたのに、
実際はそうはならなかった。
そして、 「私はまだこんなに傷ついている」 ということを強調するかのように
リストカットを繰り返し、
結局は からだも心も 死に追いやることになってしまったのだ。」
このように、 心の傷と体には 切っても切れない強い関係があるが、
そこに決まった法則を 見つけるのは難しい。
「からださえ元気なら心も元気」 でもなければ、
「からだの元気と心の元気は まったく別もの」 でもない。
ただひとつ言えるのは、 「私の場合、 心とからだは別」 とか
「私は、 心の傷つきは 誰かとのからだの一体感がなければ 絶対に埋まらない」
と決めつけすぎるのは危険、 ということだ。
(後略)〉
(次の記事に続く)
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