(前の記事からの続き)
8. 不適切で強い怒り, 怒りをコントロールすることの困難
「コントロールを失う恐怖や、 相手が去っていく恐怖を感じたり、
人生は不公平だと感じたときに 激怒します。
あまりに酷く苦しんでいて、 誰も分かってくれないので、
苦痛を外に出して怒るのでしょう。
激怒しているときには、 聞く耳を持たないのです。」
9. 一過性のストレスに関係した 妄想的観念, 重篤な解離症状 (幽体離脱)
「人生に対処するために、 解離を使ってきました。
小学生の頃、 いじめにあったとき、 頭の中を真っ白にしてしまいました。
母が大声で怒鳴るときも、 頭を真っ白にしてしまうのです。
人生の中で、 思い出すことができない時期もあります。
人から 『ぼうっとしている』 と言われ、 用事も忘れてしまうのです。」
DSM-Ⅳのモデルは有用ですが、 不備な点もあります。
・ 次のような ボーダーラインの本質的な特徴が抜けています。
羞恥の感覚
ひとりでいることの困難,
脆弱な対象関係
(ある人がそばにいないとき、 その人の愛情を 思い出すことの困難)
脆弱な境界 (自分自身の境界維持と、 他者との境界の尊重)
コントロールの問題
ある状況では大変有能なのに、 他の状況ではそうでないこと
自己愛的な要求
必要なものを手に入れる 洗練された手段の欠如
・ DSM-Ⅳの 「5.自殺行動, 自傷行為」 は、
科学的に基礎づけられたものではありません。
また、 9つの特徴のうち5つということは、 何千通りもの組み合わせがあり、
同じ特徴でも 人により違う形で表されるので、 不正確でもあります。
・ ボーダーの人と 関わる人たちの間の、
複雑な相互作用を 実際には説明していません。
〔「境界性人格障害=BPD 実践ワークブック」 (星和書店)
〈ランディ・クリーガー著/監訳:遊佐安一郎〉 より〕