「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

MBTを通してみるBPD

2011年12月10日 21時19分56秒 | 「BPDサバイバル・ガイド」より
 
(前の記事からの続き)

 子供は 自分が何者であるかという感覚を、

 親などの映し出しによって 養っていきます。

 自分が感じていることを 正しく映し出す人が 周りにいることで、

 自分の心理状態を理解し、 描写することを学びます。

 しかし 正確に映し出してくれる人が いないと、

 自分が感じていることについて 学ぶのは困難です。

 例えば 子供が怒っているときに、 母親が子供を笑い、

 脅えているみたいだと言ったら、 子供は混乱し、

 怒りが何かを 理解することが難しくなります。

 非承認的環境の一種です。

 育てる人が、 子供の感じることを理解できず、 または 感情を承認できないと、

 問題が引き起こされます。

 自分が感じていないことを 感じていると言われたら、

 自分の本当の感覚と 一致しない感覚が 発達し始めるかもしれません。

 自分自身が分離している、 もしくは 自分自身が疎外されていると

 感じるようになることがあります。

 四角いものを丸い穴に 無理やり押し込んでいる感じです。

 それを  「見知らぬ自分」 と表現します。

 本当の自分と あまりにも違っているのです。

 「見知らぬ自分」 は、

 子供に対する 養育者の否定的なイメージや、 欲求不満などの感情を

 映し出したものです。

 それは 不快なものなので、

 大抵はそれを消すために できる限りのことをしようとします。

 まず、  「見知らぬ自分」 を 自分の一部と認めて 保持しようとすると、

 自我に統一性がなく バラバラだと感じます。

 他者から映し出された感情なので、 支配されている 不安な気分になります。

 逆に、  「見知らぬ自分」 を取り除くため、

 否定的な感情を外に出すと (投影)、

 今度は外の世界が 自分に否定的な感情を抱いていることになり、

 不快な経験になってしまいます。

〔 「境界性パーソナリティ障害  サバイバル・ガイド」 (星和書店) より 〕

(次の記事に続く)