「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

寝たきり認知症には 効果が薄い -- 胃ろうを考える (3)

2011年12月01日 19時08分03秒 | 介護帳
 
 胃に直接 栄養を補給する胃ろうは、 栄養状態を改善する効果は 高いとされます。

 鼻から胃に通したチューブや、 血管からの点滴より、

 充分な栄養が取れ、 苦痛が少ない、 口からの食事と併用できる、 などが利点です。

 肺がんで、 誤嚥性肺炎を起こして 入院した女性 (86) は、

 全身が衰弱し、 看取りのために 自宅へ戻りました。

 ところが、 鼻のチューブの栄養によって 状態が改善し、

 入院して胃ろうにしたところ、 床ずれも治り、

 会話もできるようになって 退院したのです。

 自宅で1年以上、 有意義な時間を過ごし、 家族に看取られました。

 胃ろうは 食事の誤嚥も減り、

 長期入院も抑えられるなどの 社会的要因もあって急増。

 現在、 約26万人が使っていると言われます。

 しかし 胃ろうが適切でない ケースもあります。

 鼻のチューブか胃ろうを 使ったあとに亡くなった、

 寝たきり認知症高齢者の調査によると、

 胃ろうなどにしなかった人より 早く亡くなったり、

 肺炎や感染症で死亡する 確率が高くなりました。

 認知症のある寝たきりの人には、 栄養を改善して 延命する効果は薄いうえ、

 亡くなるときは 全身のむくみや肺炎などで 苦しむことが多いのだといいます。

 以前は年に80~90件あった 胃ろうの造設は、

 10年度は50件台になっています。

 欧米では、 「胃ろうに 誤嚥性肺炎の予防効果はない」 というのが 定説です。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕