「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

栄養状態から 効果を予測 -- 胃ろうを考える (4)

2011年12月02日 20時00分38秒 | 介護帳
 
 脳梗塞で 口から食べられなくなり、 点滴をしていた男性 (85) は、

 鼻のチューブから 胃に栄養を補給し、 約1ヶ月後に 栄養状態が向上しました。

 胃ろうにした場合の 全身状態の改善が、 期待できる水準と 判断されました。

 胃ろうにする判断の根拠は、  「予後推定栄養指数」 と呼ばれ、

 元々は がんなどの外科手術に 耐えられるかどうかを予測するものです。

 タンパク質の濃度を示す 血中アルブミン値と、

 体の抵抗力を示す リンパ球から算出します。

 この指数が一定以上だと、 その後の生存期間が 長いことが分かったのです。

 胃ろうを作る前から、

 医師, 看護師, 管理栄養士, 薬剤師などによる チームを作り、

 栄養や水分量を調節し、 言語聴覚士による 嚥下リハビリも行ないました。

 男性は 胃ろうを付けて1ヶ月たたずに 口から少し食べられるようになり、

 退院して 自宅に戻りました。

 今は 刻み食とおかゆを 自分で食べています。

 胃ろうで状態が改善しても、

 いずれは意思疎通ができず、 寝たきりなどになる 可能性があります。

 そうなってからの生存期間は、 胃ろうにしなかった時より長い など、

 胃ろうの短所も 説明することが必要です。

 可能な限り適応を考え、 家族にも納得してもらい、

 「患者や家族を 幸せにする胃ろう」 が望まれます。

 将来食べられなくなった時に どうするか、 医師と相談しておくといいでしょう。

 終末期に食べられなくなり、

 老衰のような形で亡くなっていくのは 自然なことだというのも、 ひとつの認識です。

〔 読売新聞 「医療ルネッサンス」 より 〕
 
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