「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

本人の主体性を 重視する

2010年01月13日 22時41分15秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 その人の人生は その人の責任で決断し、 行動することでしか、

 本当の改善は起こりません。

 こちらの価値観や期待を 押しつけることを止め、

 本人の選んだものを 大切にすることです。

 普通の家庭から 境界性パーソナリティ障害が生まれる場合は、

 ほとんど主体性と責任を 侵害されてきています。

 そうしてでき上がってしまった  「偽りの自分」 に対する拒絶反応が、

 パーソナリティ障害となって現れます。

 問題を起こしたとき、 本人かわいさに守りすぎると、

 結局 どんどんエスカレートしてしまいます。

 ただし、 危険なことをしたり 限度を超えた行動に 及ぶときは、

 はっきりストップを かけなければなりません。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 

 心子は 普段は社会的にも適応し、

 主体性を持って、 責任ある仕事も こなしていました。

 心子や母親から 聞いた話の限りでは、

 子供の頃から 主体性や責任を 奪い取られていたことは、

 ないのではないかと思います。

 父親は心子を独りで生きていけるように躾け、心子は幼いころから何でも自分でする子だったといいます。

 でも、 一旦 傷ついたり落ち込むと、 独りでは何も できなくなってしまいます。

 状態の悪いときには、 病院へ通うのも 必ず僕が同伴したり、

 役所の手続きにも 終日付いて回ったりしました。

 それから、 自殺企図を見せたときは、 必ずそれを 止めなければなりませんでした。

 心子は本心では 助けてほしかったのです。