「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

利用者さんの不安をそらす

2010年01月07日 20時49分50秒 | 介護帳
 
 帰りの送迎のとき、 利用者さんたちに上着を着せたり、 靴を履かせたりしていると、

 スタッフの人から 一度席に着くようにと 言われました。

 皆がせわしくしていると、

 まだ帰らなくていい利用者さんも 帰らなければという気持ちになり、

 玄関に殺到して 転倒の恐れがあるというのです。

 スタッフが ゆっくり落ち着いて、

 利用者さんにも 落ち着いた空気を 伝えなければなりません。

 前の大規模施設では、 特に帰りの送迎の準備のときは 戦場のような慌ただしさで、

 利用者さんの気持ちを 考える余裕はありませんでした。
 

 また、 一人の利用者さんが 具合が悪くなって 救急車を呼んだとき、

 フロアの一角で 救急隊員が来て騒々しくなりました。

 すると 別のスタッフが、 台所仕事などを始めて 他の利用者さんたちの気を引き、

 騒ぎの不安から 利用者さんたちの気持ちをそらしました。

 「心配しないで」 とか 「あっちを向かないで」 と 直接的に指示するのではなく、

 何気ない配慮で、 それとなく 利用者さんの不安を 取り除くことが必要なのですね。

 ちなみに、 食事の用意をするときなども、

 あれをして、 これをしてと 頼むのではなく、

 「他に足りないことは あるかなぁ?」

 と投げかけ、 何をしたら良いか 一緒に考えてもらうというのです。