「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界性パーソナリティ障害の診断基準 (3)

2008年08月27日 22時20分24秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55671059.html からの続き)

○ 「うつろなこころ」

《慢性的な空虚》

 うつ病に見えることもあり、共通点もあります。

 けれども、性格の強い偏りである 境界性パーソナリティ障害と、

 脳内の化学物質の変調である うつ病とは、別のものと考えられています。

○ 「アイデンティティ障害」

《同一性障害.著名で持続的な 不安定な自己像、または自己感》

 自分の価値観や 目標が定まりにくく、

 例えば 志望する進路や職業が 突然変わるということがあります。

 アイデンティティ障害に 関連したこととして、あるときから突然に、

 親が不当な 育て方をしてきたとして、親を責めることがあります。

 また、アイデンティティ障害は、解離性同一性障害 (多重人格) や

 性同一性障害という形で 現れることもあります。

○ 「一過性“精神病”」

《一過性のストレス関連性の 妄想様観念、または 重篤な解離症状》

 周囲の人に対する 被害妄想が出ることもあります。

 多くは勘繰りに近いもので、

 人との繋がりを 強く求める裏返しとして 解釈できますが、

 ときには 統合失調症かと思われるような 妄想も見られます。

 ただし それはあくまでも一過性で、精神病ではありません。

○ 「対人操作性」

 これは DSM-Ⅳ-TRの診断基準には 入っていませんが、

 境界性パーソナリティ障害の 大きな特徴と言えます。

 場面や相手によって 巧みに言葉を使い分け、虚実も取り混ぜて、

 あたかも 自分が被害者であるような 印象を、いや確信を 持たせるものです。

 「対人操作性」 があまりにも巧妙なため、周囲は 操作されていることに気付かず、

 その集団がガタガタになって 初めて分かるということも 少なくありません。

〔 「境界性パーソナリティ障害 -- 患者・家族を支えた実例集」

   林公一 (保健同人社) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55695997.html