「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ボーダー患者による 著作の特徴 (2)

2008年08月10日 21時31分26秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55464694.html からの続き)

 一方、拙著 「境界に生きた心子」 の読者から いただく文面や、

 ネットで見られる ボーダーの人の書き込みなどは、とても苦しみに満ちて、

 どうしていいか分からないと 困惑されたものが非常に多くあります。

 それに対して 前記の著作は、人生の重荷を負うといった 悲壮さがなく、

 発病は自分自身の 生き方やあり方に 結びついているものであり、

 必然的に陥った 人生の苦境として捉えられていると、林氏は述べています。

 これは 著者が回復してから 書かれたものであるということも、

 大きく関わっているのではないでしょうか。

 十二分に自己を省みて、客観的な視点で

 過去を見つめることが できるようになっていたのではないかと思います。

 「思春期病棟の少女たち」 は 著者の退院後 25年を経ており、

 郷愁などを持って 描かれたかもしれないとも推測されます。

 なお、僕が 「境界に生きた心子」 を書いた際には、

 一般に理解されにくい ボーダーの人の 心の中の苦しみを、

 読者に理解してほしいという 大きな目的のために、

 それを強調して 描いたところがありました。

 心子の苦悩や深刻さは、読んだ人にも 痛いほど伝わっているようです。

 もっとも僕自身も、彼女と死別した直後は、まだまだ 生々しい苦節を引きずっており、

 人に伝わるものが 書けるようになるまでには、3年ほどかかったのでした。

〔参考文献: 「パーソナリティ障害とむきあう」 林直樹 (日本評論社) 〕