1987年の ドキュメンタリー映画ですが、
現在のエコロジーに 通ずるものがあります。
監督は 「火垂る(ほたる)の墓」 「おもひでぽろぽろ」 の高畑勲、
制作が宮崎駿 という異色作です。
福岡県柳川市、街には 大小無数の水路が 張りめぐらされ、
日本のベニスのような趣です。
静かに、ゆったりと流れる 水面(みなも)。
花嫁を乗せて、たゆたうように 川を下る 「どんこ船」。
鯉,鮒,ザリガニ,カササギ,草魚,雷魚,
ウォーターヒヤシンス,四季の植物……。
水路の点描は 限りなく美しく、目を奪われます。
水と親しみ暮らしている 柳川の人々。
人の生活と共に、水は澄むこともあれば 濁ることもあります。
それでも柳川の水は、したたかに、清濁合わせ呑み、
今日も街を巡って、人々に潤いと慰みを 分かち与えています。
しかし、この柳川の水路は、
決して 破綻なく悠久に 流れ続けてきたわけではありませんでした。
昭和30年代からの 日本の高度成長時代、
柳川の街も 工場や住宅からの 排水によって汚染が進み、
膨大な廃棄物と ヘドロに埋まったのです。
それに伴う 水草の増殖。
水の流れは滞り、川は見るも無残に 荒廃してしまいました。
蚊やハエの発生源となり、街中に臭気が充満しました。
正に 川は死に瀕していたのです。
映画の冒頭の 美しい柳川のシーンからは 想像もできない、
粗大ゴミが積み上がった 不浄な映像は 非常にショッキングでした。
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/48746537.html