医療マーケティングの片隅から

医療ライター・医療系定性調査インタビューアーとして活動しています。独立30年を機に改題しました。

クラリネットの運動量

2015年10月21日 | 医療・健康

ケアネットに連載されている「Dr倉原の”おどろき”医学論文」が好きで時々読んでいます。

これは、近畿中央胸部疾患センターの倉原 優医師が真面目に研究しているのに、どこかおかしい世界の論文を集めて紹介するもの。
これを読むと、一見、何の役に立つのかわからないふしぎな論文も結構あり、研究とひと口に言ってもさまざまだなあと思うわけです。

で、今日のは「クラリネット演奏の運動量はすさまじい」という研究でした(笑)。いやはや。

かつて吹奏楽団やアンサンブルでバスクラリネットを吹いてきたわたし的にはちょっと気になるテーマだったので読んでみました。どうやら倉原医師も同じくクラリネット奏者だったようです。それで目に留まったのでしょうか。(笑)

肝心の研究はというと、15人の奏者にシューマンの幻想小曲集(op. 73)を吹かせた研究で、「その運動量としてはすさまじいもので、激しい運動をした場合と同等の仕事量であり、心拍数が173/分にまで上昇したクラリネット奏者もいた」そうです。
さらに「演奏終了後の血液ガス分析ではSaO2(酸素飽和度)の軽度の低下が観察され」、しかしながら90%を下回るような深刻なものではなく、「心電図変化を起こした奏者は1人もいなかった」そうです。当然です。

つまり、クラリネットの演奏は健康的ではあるがとってもハードな運動ということのようです!
いったいこの研究のどこが医学の進歩に貢献するのかわかりませんが(笑) 

ちなみに、クラリネットは木管楽器で、マウスピースにリードという木の板をとりつけ、息を吹き込むことによってリードを震わせ、管全体を共鳴させて音を出します。
したがって、どうしても息継ぎ(ブレス)が必要なのですが(でないと死亡・・・)、フレーズによっては作曲家の意図から「いくらなんでもここでは切らないでよね」と譜面がささやいてるようなところもあり、そうそうどこででも勝手に息が吸えるってものでもないのですね。(管楽器奏者がバイオリンなど弦楽器奏者を「ずるい」と思う部分はまさにそこです。)
複数の奏者がいれば、こっそり交代で吸ってしまうこともできますが、少人数のアンサンブルとか、オーケストラのクラリネット奏者など、1パート1人という体制だったらどうするのだろ?と思うような譜面に何度も出くわしております。

そういうわけで、この記事の「新人のクラリネット奏者では呼気を調節する技術が未熟で、過換気になったり大きく息を吸い込まねばならなくなったりといった努力が観察された」というくだりには、何とも親近感を覚えました。

そして、クラリネットから離れて丸3年、自分が順調に太りつつある理由もなんとなくわかりました。 

 

倉原医師の記事、原著論文はこちらからご覧になれます(会員登録が必要です)。
Dr.倉原の”おどろき”医学論文 

 

先日、サントリーホールのパイプオルガンを間近で見る機会がありました。これもまた手足をフルに使う、たいへんな運動量のように思えました。

 

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