7月19日(火)台風接近、雨時々強く降る。
今朝、なでしこジャパンが凱旋帰国した。TVで成田空港での帰国出迎え風景を視た。大きな手荷物のカートを自ら押して運ぶ一行の淡々とした姿からは、昨日の俊敏溌剌たる勇姿が嘘のようだ。
それにしても、昨日のアメリカとの決勝戦、一次リーグ最後の英国戦で惨敗した同じチームとはとても思えない戦いぶりだった。
私は、英国戦を見ていて2点目を入れられた時点でTVのスイッチを切って寝てしまった。その後の、ドイツ戦、スエーデン戦は視そこなってしまった。
しかし、昨日の決勝戦と聞いては、何が何でもこれは視たくなった。いつもは夜更かしが常のところを10時に床に入り3時半に目覚ましをかけて起きた。
TVの画面ではセレモニーが始まっていた。なかなかの見ものだった。並列して進んできた日米の大国旗が左右に分かれる。君が代が奏される。そしてアメリカ国歌が…
試合が始まった。
ダイナミックなアメリカ選手の豪快なシュートがバシバシと打ち込まれる。なでしこジャパンは、その前でなす術がないありさま…。
ああ、こりゃー駄目か…。身体が違う。大人と子供のようだ。
しかし、それでもアメリカ側の力任せかと思わせられる荒っぽい精度を欠いた攻撃によく耐えて何とか、0対0で前半を終えた。
そして後半、24分、アメリカのモーガンが鋭いシュートを決めた。
後、残り時間は20分少々。先制点を挙げたチームがほとんど勝利を収めるという。
これは無理か。1対0で終わりか。
しかし、解説者が佐々木監督が「先制点を取られてもいかに短時間で点を奪えるかが勝負だ」と云っているとのこと。
そんなことがこの強者に通用するのかとの思いで見守る。
と、何んと36分、なでしこがこぼれ球をサッとゴールを決めた。同点、振り出しに戻った。これを機に、元気付くなでしこジャパン。
そして、15分、15分の延長戦。
ところが、前半14分だったか。アメリカがまたも1点を先制。もはやこれまでか…。
休む間もなく延長戦の後半が始まる。
開始、12分。今度は日本側のコーナーキックのボールを沢がひっくり返りながらゴールに押し込んだ。またも同点。何んと言う粘り強さだ。
アメリカ勢の表情から余裕が消え、何だこれはという疑念と苛立ちに変る。
そして奇跡のPK戦。
笑顔の日本勢。あせりで顔の強張るアメリカ。
アメリカはことごとく失敗する。横っ跳びに倒れこみながら右足で敵の球を弾きとばすキーパーの小ぶりの灰色熊のような海堀。そして強敵アメリカとは対照的に、まるで相手と楽しく遊んでいるかのような日本勢のシュート。
表彰式。金色の紙片が雪のように舞う。
素晴らしい試合だった。こんなドラマを誰が書けるだろうか。久しぶりに心から感動した。あの3月11日以来の暗い話ばかりの続く日本。
これはそんな日本に神が贈ってくれた励ましというのは大げさだろうか。
聞けば、なでしこジャパンのメンバーの殆どは、昼間は様々なアルバイトをして夜の九時から練習してきたと聴く。
その恵まれない環境の中からの奮闘努力の結果だという。
そしてふと思う。
大人の男どもが70年前、後先の見境も無く無謀にも挑んだアメリカ相手の戦争。そして未曾有の大敗北。
しかも今、その敗北の原因を徹底的に究明せず、戦後の東西冷戦のなかでの朝鮮戦争特需の僥倖の波にのったまま昭和バブルのうっ頂点。
それが一転、今日の低迷、政治の衰弱。7百に国会議員は、足の引っ張り合いの鳥獣戯画だ。
だが、今日、若い日本の小さな娘たちが、祖父母が味わった苦い敗戦の想いをいささかなりとも晴らしてくれたのでは、というのは山家の半隠居の見当違いの妄念だろうか…。
なでしこジャパンの皆様ありがとう!
--こんなことが言いたくなるこの頃なのです。
先の大戦に至る経過、様々な議論があるところです。正直、1941年生まれの私にとって、あの戦争は結果であり、どうしてそのようになったのかは、書物、記録を通しての伝聞でしかありません。
だが、私なりに現在のところ理解するところでは、直接の遠因は日露戦争の勝利にあったようにおもいます。薄氷の勝利の真実を時の政府が国民に知らしめず、ただ勝利の結果の偉大さのみを喧伝し、酔わしめたことにあるとおもいます。
欧米列強が、今に至るも自分たちの価値観だけが唯一のものとかかげ、今の世界を傍若無人に闊歩することは許しがたいところであろいます。
だが、この事実、現実の力の前ではいかんともしがたいところではありませんか。
今の世界から西欧列強の価値観を揺さぶるには、アジア、インド、アラブ、アフリカ諸国民が団結してこれに対抗する以外道はないと私は信じます。
その核になるのはわが日本であるべきです。
しかし、そのためには、今の日本国憲法を改定し、自らの国は自ら守る気概を世界に示した上で、どこの国との従属関係を断ち切り、真の世界政府樹立の提唱者になることにあると信じます。
それこそが、あの戦争で亡くなっていった全ての人々の尊い犠牲に応えることではないでしょうか。
とはいうものの、云うのは簡単ですが、この道は果てしなく遠いこともまた確かなことだと思います。
いかがでしょうか。
「やっぱり自分の国は自分で守る、と言う当たり前のことを実行しない限り、他国におもねるのが当たり前になるのでしょうね。自分の力で守るときに、真の対等な同盟も出来るのではないでしょうか。」だと思います。
今回のなでしこジャパンの快挙もこの一語に尽きると思います。