今回は久しぶりに具体的技法について、現在わたしが試行しているやりかたを述べてみようと思います。一教についてはバックナンバー59や他のところで何度か触れています。二教と四教についてはこの、ブログをご覧いただいた《修行者》様のコメントに対する回答で説明させていただいておりますので、重複になりますが以下に転載いたします。
《合気道の技の中には合理的でないと思われるものもいくつかあります。その代表が正面打ち二教であろうと思っています。二教は片手取りや肩取りなど掴まれた状態からは有効なのですが、打ち込みを制する時にわざわざ小手回しをする必要は感じられません。統一された体系を作るときにバランス上組み入れる必要があったのでしょう。
それはそれとして、二教裏のポイントは、受けの手首を痛めつけるのではなく、腰を崩すのが目的です。そのために、相手の手首を自分の肩口に固定し、受けの肘は単に下に落とすのではなく一旦自分のほうに引きつけてから相手の重心つまり腰に向かって押し下げるようにします。ですから受けの腕に乗せる自分の腕は【<】のような動きになります。ちなみに黒岩先生は二教は中段の崩しであり、かつ奥行の表現だとおっしゃっています。
四教は最も合気道的でない技です。それは動きに流れを取り入れるとうまくできないからです。とりわけ裏は、流れ重視では受けの腕が三教裏のような動きになり、痛くもないし崩れません。次のようにやってみてください。受けの手首を両手で取ったら、両肘を軽く脇に付け、胴と前腕で床と平行な三角形を作ります。手首の位置を三角形の頂点とすると受けの肘はその三角形の頂点の真上にきます。その肘が、頂点を中心とし、受けの取られた前腕の長さを半径とする縦の円弧を描くように、一気に頂点の真下にくるように全力で捻り落とすのです。つまり、三角形の頂点の上にあった受けの肘がクルリと下にくるようにします。肘が描く線はできるだけ円に近い線にしてみてください。中心がブレて大きい曲線や放物線状になると前述の三教的になってしまいます。この時、腕力だけでは足りないので、上半身を横反りさせ胴体力も使って瞬時に極めるのがコツです。四教は≪地に着く≫と教えていただきました。》
以上がご質問に対する答えですが、三教については触れていらっしゃいませんでしたので、そこだけ抜けています。それについて今回ここで説明をさせていただきます。
三教の、いわゆる小手ひねりですが、特に裏技について、腕を取りひねりをかけてその後うまく落とし押さえることができていない方が見受けられます。受けは受けで、あまり崩れていないのに、踏ん張ってしまうのも相手に悪いから崩れてあげている、なんて方もいらっしゃるのではないですか。
これは取りの立ち位置と腕の取り位置が正しければ、すんなりきまります。まず取りの立ち位置ですが、これは受けの横に半身(相手の左側なら右半身)に構えます。裏技だということで、この段階で受けの背中側にあまり大きく回りこんではいけません。
次に相手の腕の取りようです。これは、受けの両肩を結ぶ線の延長上に取った腕の肘が、そしてその真下に手首をもってきた状態で、チョンとひねりを効かせます。これが正しくきまると、おおげさに小手をひねらなくても、受けは浮き足立ちます。その瞬間に右足(上の例で右半身だから)を受けの背後に踏み込んで小手ひねりを緩めないように落とすのです。この場合、受けの腕をすぐに受けの腰の後ろ(帯や袴の腰板あたり)に持ち込んではいけません。三教は下段の崩しですから、ひねりをかけつつ下に(膝裏あたりをめがけて)落とすのです。
この場合も、崩し(浮き足立つ局面)は一瞬でよいのです。いや、一瞬でなければいけません。『小手ひねり、効いてる?』なんて言いながら受けを振り回すのも、遊びとしては面白いのですが、まともな(能力ある)受けなら回避対応(返し技)をしてきますから。
なお、肘をとる手は、ただ掴むのではなく、深めにさし入れてからバイクのアクセルをふかす時のようにひねり落とします。
以上、いつにもましてわかりづらいと思いますが、だいたいの見当をつけて試してみてください。すっかり同じでなくても、自分なりのより良い動きがみつかるかもしれません。