合気道ひとりごと

合気道に関するあれこれを勝手に書き連ねています。
ご覧になってのご意見をお待ちしています。

327≫ 期待的技法

2017-10-21 18:14:52 | 日記
 先日、当会会員から『稽古で気をつけるべきは何か』と尋ねられました。もちろんそれは色々ありますが、その時は『相手の反応に期待してはいけない』と答えました。相手の反応とは、こちらがこうしたら相手はこう応ずるはずだ、というような期待値に基づく動きのことです。

 どうでしょうか、そのような期待値を前提に形を組み上げてはいないでしょうか。最も簡単な例としては片手取りの転換で受けがついてくるといったことがあげられます。取りは受けがついてくるという前提で動きを組み立てます。ついてこない時は、一瞬とまどった後『ついてこい』と命ずるのではないですか。

 少し上達すると、片手をつかませて、それを少し差し伸べると受けがのけぞったり、少し引くと前かがみになったり、相手を好きなように動かせるなんて言い始める(思い始める)わけです。そしてそれを前提に技が形づくられます。たしかに人間は意志と無関係に反射によって動くことがありますが、しかし、よく考えてみると稽古における反射的動きは、厳密には条件反射、つまり稽古によって作られた動きではないでしょうか。試しに合気道経験のない人に片手をつかませて押したり引いたりしても姿勢が崩れるほどの反応は示しませんし、転換でついてくることはまずありません。

 こんな素人に効かない技なんてどんな値打ちがあるのだろう、そう思いたくなるのですが、そこはちょっと待ってください。合気道特有の動きの大半は受けによってつくられているということと、それは稽古によって培われたものであることを認識していれば技法の意義を誤解することはありません。

 稽古は一義的には、適切な間合いをつくり、最終的には相手の中心を制する、それを目指します。そのために各種技法を駆使してそれを実現する体をつくりあげていくわけです。

 動きには、そう動かなければいけない理由があります。例にあげた転換でついてこない人に、ただついてこいと言うのではなく、なぜついてこなければいけないかという理由を説明してあげるべきなのです。もっとも、転換に関してだけでも、ついてくるべき理由が三つくらいあります(以前に述べたことがあると思います)ので、よくよく研究しなければいけません。

 とにかく、合気道の稽古は相手の動きに一定の期待をもって技を進めていきますが、うまくいってもそれが自分の実力だとは勘違いしないで精進してほしいものです。

 蛇足ながら、受けがこちらの望み通りの動きをせざるを得ない方法があることはあります。逆に言うと相手の反応に期待しない方法ですので、それぞれに工夫してみてください。

326≫ オマケも大事 

2017-10-06 18:15:07 | 日記
 前回、コツやオマケは稽古においての重要度の順位が低いというようなことを申しました。それはその通りなのですが、だからといってそれらの練習がいい加減でよいというわけではありません。間合い作りができてもその先が上手くないと各種技法が完成しませんし、最終的に対手を制圧しないことには武道にはなりません。

 実際、稽古の場においても間合い作り云々よりは手技の練習のほうを楽しんでやっている様子が見受けられます。二教(小手回し)や三教(小手ひねり)の練習で『痛テテ』『効いたか』なんてやり取りしているのはほほ笑ましいと言えなくもありません。

 それで、どうせならそのあたりものも本物のやり方を学びたいものです。コツの類ですから、ちょっと練習すればだれでもできます。以下に2、3の例をあげますが、そんなにたくさんあるわけでもないので、以前言ったことの繰り返しになるかもしれません。

 まず、相半身片手取りの二教で、取りは相手の手首関節を極めますが、この場合受けの手首にかけたこちらの手は、大雑把にいうと受けの帯をつかんで引き寄せるような形にするとよく極まります。あるいは手首に乗せた手の指が指す方向(下向き)に力を出すのも良いです。

 三教(小手ひねり)は、受けの上腕は床に並行。その肘の真下に手首をもってくると少しのひねりで受けの重心が浮きます。

 二教も三教もギリギリひねったり回したりしなくても簡単に極まります。逆に言うと、受けを必要以上に痛めつけるのは下品というものです。

 また、一教は受けの肘をチョンと突き上げすぐ切り下げる、四方投げは受けを斜め前方に引き出し低くくぐるようにします。その他の技法も同じことで、できるだけ少ない動きで最大の効果を上げる、そのための稽古です。

 このような説明にあたっては動画かせめて写真でもあれば親切というものでしょうが、諸般の事情(おもにわたしの体調)により文章だけになってしまっています。代わりといってはなんですが、当方の稽古においでいただければ最大2時間くらいの説明稽古は可能ですので、どうぞ遊びにおいでください。