過ぐる17日(日)に開催した特別講習会に遠路ご参加いただいた皆様にこの場をお借りして感謝申し上げます。
そもそもこの講習会は黒岩洋志雄先生のご逝去(2010年1月19日)により、その優れた理論と技法が途絶えてしまうのではないかという危惧から(杞憂でしたが)、その直後の同年3月7日に分際もわきまえずわたしが勝手に始めたものです。もっとも、勝手に始めたというのは今にして思うのであって、そのときは自分がやらないといけないという意気込みであったことを、初回時に参加者に配った資料を見返してみて思い出しているような次第です。
それから毎年春秋2回ずつ開催し(開始の翌年に東日本大震災があってその直後の開催はできませんでしたが)、今回で数えて10回目となりました。その間、講習の中身は最初の頃と大差ないのですが、むしろ変わったのはわたし自身の気持ちでしょう。いい意味で気持ちにゆとりができました。それは、この講習会に最初から参加してくださっているZ氏(わたしよりもよほど正統な黒岩合気道の継承者です)が主宰として昨年から稽古会を始められたからです。左記のブックマークにある=輪の会=です(だから杞憂だったということです)。
ご存知の方もおありでしょうが、黒岩先生の技法は見た目では一般的な合気道技法とは相当趣を異にしています。ですから一般の道場で稽古するとどうしても動きの違いが目立ってしまいます。それでは指導してくださる方に失礼ですし、自分自身も消化不良になってしまいます。ですから、黒岩式を守ろうとすればどうしても自分の責任で自分の稽古ができる環境が必要です。それですからZ氏の決断を喜んでいるわけです。
さて、一般的な技法と黒岩式技法の違いと言いましたが、本当は違いではなく、技法解釈の深さの度合いというほうが正確でしょう。すなわち、理合といいますか、理屈、理論の領域の問題です。もちろん、だからといって他のやり方との間に優劣があるということでは決してありません。そのことは先生ご自身もおっしゃっていました。
しかし、武術であることの本質を忘れず、かつ、現代武道として求められる種々の要素を突き詰めていくならば、必然的に黒岩式にならざるを得ないとわたしは考えています。しかも、それこそが達人に至る道であるとわたしは思っているわけです。
参考までに、今回の講習で配布した資料の中から黒岩合気道を特徴づける言葉をピックアップし、ごく簡単に説明を加えておきます。
①ヨコの崩し・タテの崩し=人は崩しをかけないと容易に倒れません。それは柔道を見ればわかります。合気道においてもしっかり崩しをかけます。
②虚と実=合気道の稽古は受けの人に手首などをつかんでもらって行いますが(虚の稽古)、実際は倒れたり投げられたりするまでつかんでくれる人はいません。そのため実戦的には取りが自分からつかみにいくのが本当です(実の技)。
③脳天逆落とし=合気道の投げ技は(場合によっては押さえ技も)おしなべて頭から真っ逆さまに落とすようにできています。稽古においては危険を避け受身をとれるように投げます。
④主と従=手(腕)や足(脚)は左右のどちらかが主、反対側が従として働きます。それを交互に繰り返すように遣うのが正しい方法です。
⑤間を埋める=合気道の技は自分と相手との間にできる空間を自分の体で埋めていくことで成立します。
⑥押す動き=原則として合気道には引く動きはありません。逆に自分が出ていって相手(の体の一部)を押すようにします。
資料にはもうひとつ《輪》というのがありますが、これはちょっと説明がむずかしいので機会を改めます。
以上。あまりにも簡単な説明ですので理解の助けにならないかもしれませんが、本文をお読みになって気になる点がありましたらできるだけお答えしますのでお尋ねください。
そもそもこの講習会は黒岩洋志雄先生のご逝去(2010年1月19日)により、その優れた理論と技法が途絶えてしまうのではないかという危惧から(杞憂でしたが)、その直後の同年3月7日に分際もわきまえずわたしが勝手に始めたものです。もっとも、勝手に始めたというのは今にして思うのであって、そのときは自分がやらないといけないという意気込みであったことを、初回時に参加者に配った資料を見返してみて思い出しているような次第です。
それから毎年春秋2回ずつ開催し(開始の翌年に東日本大震災があってその直後の開催はできませんでしたが)、今回で数えて10回目となりました。その間、講習の中身は最初の頃と大差ないのですが、むしろ変わったのはわたし自身の気持ちでしょう。いい意味で気持ちにゆとりができました。それは、この講習会に最初から参加してくださっているZ氏(わたしよりもよほど正統な黒岩合気道の継承者です)が主宰として昨年から稽古会を始められたからです。左記のブックマークにある=輪の会=です(だから杞憂だったということです)。
ご存知の方もおありでしょうが、黒岩先生の技法は見た目では一般的な合気道技法とは相当趣を異にしています。ですから一般の道場で稽古するとどうしても動きの違いが目立ってしまいます。それでは指導してくださる方に失礼ですし、自分自身も消化不良になってしまいます。ですから、黒岩式を守ろうとすればどうしても自分の責任で自分の稽古ができる環境が必要です。それですからZ氏の決断を喜んでいるわけです。
さて、一般的な技法と黒岩式技法の違いと言いましたが、本当は違いではなく、技法解釈の深さの度合いというほうが正確でしょう。すなわち、理合といいますか、理屈、理論の領域の問題です。もちろん、だからといって他のやり方との間に優劣があるということでは決してありません。そのことは先生ご自身もおっしゃっていました。
しかし、武術であることの本質を忘れず、かつ、現代武道として求められる種々の要素を突き詰めていくならば、必然的に黒岩式にならざるを得ないとわたしは考えています。しかも、それこそが達人に至る道であるとわたしは思っているわけです。
参考までに、今回の講習で配布した資料の中から黒岩合気道を特徴づける言葉をピックアップし、ごく簡単に説明を加えておきます。
①ヨコの崩し・タテの崩し=人は崩しをかけないと容易に倒れません。それは柔道を見ればわかります。合気道においてもしっかり崩しをかけます。
②虚と実=合気道の稽古は受けの人に手首などをつかんでもらって行いますが(虚の稽古)、実際は倒れたり投げられたりするまでつかんでくれる人はいません。そのため実戦的には取りが自分からつかみにいくのが本当です(実の技)。
③脳天逆落とし=合気道の投げ技は(場合によっては押さえ技も)おしなべて頭から真っ逆さまに落とすようにできています。稽古においては危険を避け受身をとれるように投げます。
④主と従=手(腕)や足(脚)は左右のどちらかが主、反対側が従として働きます。それを交互に繰り返すように遣うのが正しい方法です。
⑤間を埋める=合気道の技は自分と相手との間にできる空間を自分の体で埋めていくことで成立します。
⑥押す動き=原則として合気道には引く動きはありません。逆に自分が出ていって相手(の体の一部)を押すようにします。
資料にはもうひとつ《輪》というのがありますが、これはちょっと説明がむずかしいので機会を改めます。
以上。あまりにも簡単な説明ですので理解の助けにならないかもしれませんが、本文をお読みになって気になる点がありましたらできるだけお答えしますのでお尋ねください。