合気道の現状について、わたしは、このブログでは批判的な立場をとることが多いと自覚していますが、今回は逆の見方をしてみようと思います。つまり、肯定すべきことは肯定するのが公正な態度だと思っていますよと表明することで自己弁護を試みてみようと考えたわけです。
わたしの主宰する会では、一般の市民の方を対象とする講習会を毎年春と秋に開催しています。合気道式の準備運動や基本的な動きを覚えてもらって日々の健康づくりに役立ててもらおうという趣旨です。参加資格無制限なので、これまで未就学児から70代の方まで来られたことがあります。それでもやることは全員同じですから、合気道は本当に間口の広い武道だと感じます。
今年も秋の講習会がつい先日行なわれましたが、2ヶ所の会場で2回ずつですので、全部参加すれば合計4回できることになります。参加費無料ですから、これは絶対お得なはずですが、経費をかけられないこともあってPRが足りないせいか毎回参加者は少数です。でも、合気道がどんなものか全然知らなかった人がほんのわずかでも理解してくれれば、大先生や吉祥丸先生に喜んでいただけるのではないかと思い、それを励みにやっているわけです。
また、それを機会に当会に正式に入会してくれる人もいて、今年の春の講習会では40代、50代、60代の三人の方が、さらに今回は60代の方が二人入会してくれました。これでまた会員の平均年齢が上がりますが、そのような年代の方でもやってみようと思っていただける武道というのは滅多にあるものではありません。これも合気道の徳というものでしょう。
そこで、春に入会した人と今回の参加者の動きを比べてみると、いずれも初心者ながら、やはり半年分の差が歴然とあるのがわかります。もちろん経験の有無による上手下手ということではなく、自分の体をいかに自分の思い通りに動かすことができるかという基準でです。これを1年、5年、10年と続けていけば合気道とは縁のない一般の人とは相当な開きが出てくることは明らかです。健康のために稽古をする人にとってはそれで十分に目的を達成できているといえます。願うらくは、そこで得られた身体能力をもって、いま少し合気道の真髄に迫っていただきたいというのが本音ではあるのですが。
いずれにしても、合気道というのは、このように普通の人が普通の稽古を重ねることによって、以前には無かった能力を発揮できるようになるためのシステムを備えていると言ってよいでしょう。
ここで大事なのは、《普通の人》による《普通の稽古》であるということです。特別な能力を持った人の特別な稽古ではないのです。まあ、そのような優れた能力を持った人の存在は他の人の目標や励みになりますし、合気道の可能性を高めてくれますから大いに喜ばしいことですが、普通の人でもある程度、いや相当程度のところまでは上達するし、そうでなければ今のような普及もなかったでしょう。
ここで、絶対に勘違いしてはいけないのは、普及のための間口を広げることは必ずしもレベルを下げることと同義ではないことを指導者はしっかりと認識していなければならないということです。先にも言いましたように、たゆまぬ稽古の積み重ねによって当初は予想もしなかったようなレベルにだれでも到達することができるようになるのです。それを確信しなければ、バカバカしくて指導者なんてやってられないでしょう(指導者自身がそのレベルまで行っていなければ、これはまあ仕方がありませんが)。
合気道を始めたころのわたし自身の身体能力は、大雑把にみて、全体の中程度、良くて上の下といったところだったと思います。今でも飛びぬけた能力があるわけではありませんが、長年の修練のおかげで同年代の人に比べれば平均よりは上ではないかと思っています。
その程度ではあまり修練のおかげとは言えないのではないかと思われるかもしれませんが、あちこちにガタが来ている身としてはそれくらいに考えていたほうが無難でしょう。もちろん、合気道的な動きに関してはそれなりの自信はあるのです、当り前ですが。ですから、普通の人が普通の稽古をすればそれなりの動きを展開できるようになる、ということを自分で証明しているようなものです。
合気道に妙な特殊技能を求めているような人にはつまらないでしょうが、わたしに言わせればそんな幻みたいなものに人生の大事な時間を費やさなくて良かったと思っているのです。現状で十分に並以上ですから。
そんなわたしが主導する講習会ですが、それを通じて合気道に触れてみてくださる人がもっと増え、さらに合気道を愛してくだされば、《合気とは 萬和合の力なり たゆまず磨け 道の人びと》と大先生がうたわれた通りの社会が実現するのだと思っています。
さて、いつも曲がっているわたしのヘソが幾分かはまともになったでしょうか。
どうせまた元に戻るに決まってるって聞こえました。はいそうですが、今回言ったことは本心ですよ。。
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= 第5回特別講習会 のご案内 (目障りでしょうが、これが最終です) =
来る11月4日(日)の本講習会では、概略以下のようなことを行ないます。
ⅰ 黒岩洋志雄先生の一教、四方投げ、入身投げ (基本の技)
ⅱ 黒岩先生の技法と、同時代をともに過ごした西尾昭二先生の技法における類似点・
相違点
ⅲ 黒岩式棒切れ術(スティック術)
ⅳ 基本に準ずる技(二・三・四教、小手返し、天地投げ、回転投げ、腰投げ等)の留意
点(コツ)
以上の各技において、あるべき足運び、体遣い、間合い等を示し、いわゆる遣える合気道というものを考える手がかりを提供します。
このような予定ですが、時間を見ながら追加あるいは割愛いたします。
詳細は左のリンク欄から≪大崎合気会≫のホームページをご覧ください。。