合気道ひとりごと

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36≫ トレーニング

2007-09-09 13:49:26 | インポート

 ダイエットに人気がありますね。各種のエクササイズや食べ物、振動ベルトや乗馬スタイルの機器の類まで、まさに百花繚乱。皆さん喜んで励んでいらっしゃるのだから結構なことです。まあ、痩せたかったら無駄喰いしなきゃいいだけのことなんですけどね。

 いろいろ試して、やっぱりダメだったなんて人もたくさんいらっしゃるようですが、これほどまでに関心が集まる一番の理由は、やはり健康志向がこれまでになく強くなっているからでしょう。生活の質を高めたい、それにはまず健康でなくては始まりませんからね。ですからダイエットに関心が集まるのは悪いことではありません。でもそれが行き過ぎると、健康教とでもいうべき偏った思い込みに陥ることもあります。『健康は命よりも大切だ』なんてね。以前に変な健康食品がはやり、かえって体を壊したという出来事もありました。顔面美容器がトラブルを起こしたこともあります。

 少し冷静になって考えてみれば、すぐに痩せたり、すぐに体質を改善できる方法なんていうのはありえないということくらいは気付くはずなんですけどね。その点、合気道に励んでいらっしゃるこのブログの読者の方は最良の選択をなさっておられるわけです。なんてったって合気道は美容に健康に精神修養に、そしてもしも運が良ければ戦いにも勝てるかもしれませんから。ただ、合気道は基本が二人稽古ですから、一人のときはどうしようと考えていらっしゃる方も多いと思います。実際わたしも、何人かの方から一人稽古の方法について質問を受けたことがあります。空手や太極拳のように一人用のカタがあればいいのですが、合気道のカタをひとりでやっても、なんだか間が抜けた感じなのは確かです。それであれば、一人稽古はカタにこだわるのではなく、基礎的な体力作りに振り向けてみてはどうでしょうか。

 筋力に頼らないのが合気道の特徴だと言っても、武道である以上、使える筋力があるにこしたことはありません。そのための基本的なトレーニングは各種スポーツに共通のもので構いません。黒岩先生は足腰の鍛錬にはスクワットを勧めておられます。また腕の鍛錬のために木刀振りをするのであれば、刀であることをちょっと忘れて、剣先を両手で持って(そうすると先の方が重くなるので)∞の字に振り回すのが良いと教えていただきました。腕の筋力と手首の柔軟性を養うことができます。全身鍛錬にはレスリングが良いともおっしゃっていますが、なかなかそんな機会と場所には恵まれませんから、準備体操のようなものを地道に続けるのが結局一番効果的かもしれません。

 ダイエットにしろトレーニングにしろ、大事なことは続けるということです。体力には大きく分けて瞬発力、持久力、柔軟性とありますが、健康を考えるのであれば、そのうち持久力が第一ではないかと思います。であればなおさら続けることが大事です。それを日常の稽古に生かしていくと、合気道もどんどん上手になります。ちょっとだけ自慢話をしますが、稽古仲間から『教えてもらった通りやっているつもりだけどうまくいかない。いったい何が違うのか』と聞かれることがあります。わたしは『あえて言えば年季が違う』と答えます。でもこれ本当ですよ。どなたでも長くやればやっただけ上手になります。もちろん、そうでなければ誰も稽古なんてしないでしょうけどね。

 要するに、長く稽古をするということは、いろいろな気付きに出会うということです。それをうまく稽古に取り入れていけば、どんどん上質なものに変わっていきます。わたし自身、最も体力に自信のあった学生時分よりも今のほうが圧倒的に上等な合気道を体現できます。ですから、前にも言いましたが試合のある種目のように、2,30歳台で現役引退、その後は指導者なんて、もったいない話です。そんなことでは彼らの中から今後名人、達人は出てこないでしょう。

 またトレーニングの話に戻りますが、以前黒岩先生の指導を受けたことがある方で、どうにも足腰が弱くて困っていた人が漁船に乗り、網を曳く仕事を続けているうちにすっかり逞しくなって帰ってきたそうです。このようにトレーニングの種はどこにでも転がっています。それと、体捌きのイメージトレーニングも楽しいですよ。例えば歩行中に、前からくる人や車との間(マ)を意識して転換や入り身をイメージするのです。混雑する街中でもスイスイと歩けるようになります。ただ、派手にやりすぎると変な人と間違われますから。

 こんなふうに元手をかけず体と意識を錬って、稽古に生かしていきましょう。なお、筋力トレーニングをした後は、筋肉を十分ほぐして柔らかくしておきましょう。これを怠ると硬くて使いづらい筋肉になってしまって後で困ります。日常の仕事や動作でついた筋肉は、このようなケアができないことが多いので要注意です。いずれにしても、一人稽古は工夫が必要ですが、通常の二人稽古は、いま言ったような要素が全て含まれています。そんなわけですから稽古相手は大切に。