今日もヘミングウェイですが、今読んでいる文庫本は買ってから読まないまま積読ならぬ立て読なのではないかと思われます。読んだ短篇に記憶のあるものがほとんどないのですね。新潮文庫ですが、ヘミングウェイ全短篇2というもので1もあるのですが、こちらも読んだかどうか。今日は4編読みました。
今日はヘミングウェイ短編集から2編、「神よ、男たちを楽しく憩わしめたまえ」「海の変化」です。神よ・・は毎日性的な思いが断ち切れない少年が自ら陰茎を切断してしまう話、海の・・は酒場での男と女の別れ話です。
なんとなく読みたくなって、本棚にあるヘミングウェイ短編集に取り掛かっています。今日は3編、「嵐のあとで」「清潔で、とても明るいところ」「世の光」です。いつこの短編集を読んだか覚えていませんが前世紀のことだと思えます。
幽霊男を1日で一気読み。雑誌連載は1954年。西荻窪などは少し歩くと雑木林で人気が無いとあります。70年前、隔世の感ありありです。怪しげなヌードスタジオを舞台に、そこのモデルが殺されていきます。理由は何か。半分くらいまでは全くわかりません。そして金田一耕助が登場しますが、ホテルのボーイ姿です。袴以外での登場は珍しいと思います。その金田一は犯人に次々と裏をかかれ、畜生!の連発です。後半に登場人物が増え、犯人がわかりにくくなっていきます。もちろん、策士溺れるという格言を金田一が見事に証明して見せますが。
これで昨秋から読み続けてきた金田一耕助もおおむね読み終えたと思うのですが、何分図書館に行っても横溝正史のコーナーは異様に小さくて、自分の地方図書館には数冊しかないありさまで、それというのも、角川でも電子版でしか出していないのがかなりあるからですね(特にジュブナイル)。角川文庫全巻揃いの図書館に確認に行きたいものです。
「幽霊男」横溝正史 角川e文庫
三つ首塔を読みました。(昭和30年で)100億円の遺産相続をめぐって(現代なら5千億円という話かも)、相続対象者の争奪戦が始まります。殺人により一人一人相続者が減り、最後は三つ首塔で相続の秘密と謎が明らかにされますが、最後の最後は八ツ墓村のような地中での攻防になります。こうした流れをヒロインの手記という形で述べられていて、金田一はかなり最初から登場しますが、伏線のような立場です。ヒロインに付きまとう男の謎もこの話の大事なところです。彼はヒロインに対して是なのか非なのか。
「三つ首塔」横溝正史 角川e文庫
夜光怪人のあと短篇2篇が入っていますが、これはそれぞれ数分で読めるもので、まさに少年少女向けのものでした。両方とも金田一耕助は登場せず、1篇は等々力警部が、1篇は自称小説家が登場します。昔は少年少女向け雑誌が多く出版されていましたが、今は絶滅してこの手の小説も同時に絶滅しましたね。スマホで片手で読めるネット小説が世の主流のようで、淋しくもあります。
「夜光怪人」横溝正史 角川e文庫
金田一耕助を読み続けていますが、次はジュブナイルです。昭和24年に連載された夜光怪人を読みました。ピストルがどんどん登場して撃ち合いになります。特に最後はあの獄門島が登場してそこで武装警官と海賊と夜光怪人一味とでドンパチがくり広げられます。ここはアメリカかと思う感じ。もともとは由利先生ものだったのを金田一に書き換えたものだそうです。その金田一は半ばから登場し、最初は犯人の推理を間違えたりします。獄門島で本領発揮となります。昭和24年頃の東京の様子が偲べて面白いです。
悪魔の寵児は悪魔の手毬唄が終わるころから雑誌連載が始まって、そのエログロなところが論議を起こしたといいます。確かに殺された女は裸体で組み合わされた男(やはり死体、あるいは蝋人形)との行為中、あるいはエロ写真撮影中という状態であるので、そういう所はあるかもしれませんが、大団円で金田一が話す推理の中身は、短編では味わえない本格的な内容であると感じ、面白かったです。横溝の作品の常として、犯人は最後に青酸カリを飲んだりして自殺する事が多いのですが、やっぱりとっつかまって留置場に入れられるところを描いてほしかったなあと思います。犯人にも犯罪を犯す一抹の理があるということなのでしょうか。
「悪魔の寵児」横溝正史 角川e文庫
金田一耕助の今日は悪魔の寵児です。1958年の作品で文庫1冊の長編です。長編はけっこう有名な作品が多い横溝正史ですが、この作品はあまり有名ではないのかなと思います。おどろおどろしいと言えばそうだし、男と女の絡みが多いので獄門島や八つ墓村、本陣殺人事件などと比べてトリックで読ませるという感じは(半分読んだところでは)しませんね。
今日の金田一耕助は中編4編の入った首です。一気に読んでしまいましたね。同性愛をテーマにしている生ける死仮面、悪魔的な女が出てくる花園の悪魔、骨から人の顔を再生する今でも通用するような蝋美人は等々力警部とのいつもの話。首は磯川警部が出てきて、ちょっと疲れたから山奥の温泉にでもと金田一と磯川警部が出かけた岡山の山奥でのおどろおどろしい殺人事件。首が獄門島、八つ墓村に通じる山奥の怖いお話というところです。
「首」横溝正史 角川e文庫