今日は大陸の誕生です。出来たての地球は隕石のじゅうたん爆撃でマグマオーシャンになり(水の)海はなく、陸地もありませんでした。やがて水蒸気が雨となり(というか豪雨)地上に降り注ぎ地表を冷やし海ができます。 年間10m降って1000年続いたとされています。水の惑星の誕生です。ではどうやって陸地ができたのか、その謎に迫ります。
大地は岩でできています。その岩は火成岩、変成岩、堆積岩と大きく分かれます。事実上大地を作るのは火成岩であり、海洋プレートを作るのは玄武岩、大陸プレートを作るのは安山岩と言われています。マントルからマグマができる時に、地下30kmより深いところでできると玄武岩が生まれ、浅いところでは安山岩になるのだそうです。伊豆から南に向かって、火山列島が連なっています。海底火山から生まれたこれらの島々はどの島も玄武岩でできているのですが、最近日本の面積を拡大している西之島新島はなんと安山岩を放出しているのだそうです。今まさに大陸が生まれつつあるという言い方がされている火山島です。地質学者が並々ならない関心を寄せているのです。
クリスマスが終わって年の瀬というのが一年で一番好きな頃です。子供の頃からなんとなく。今日は銭形平次捕物控を何話か読んだり、本棚のブルーバックスから真空のからくり(真空のからくりというのは質量誕生のからくりでもあるわけです)を読んだり、最後には買っておいた同じくブルーバックスの大陸の誕生に手を付けました。
20世紀論争史は大学教養課程向けに書かれたもので(とはいえ小説宝石に連載されました)、全30回で一年間のコマで終了できるようになっているとあとがきにありました。書かれているレベルがそういう向きなので、読んでいて読みやすく没入して読めました。教授と助手の対話という構成がいいのだと思います。
「20世紀論争史 現代思想の源泉」高橋昌一郎 光文社新書電子版
20世紀の論争史の2日目です。哲学というのは真理を探求する学問ですが、色々と(宗教で言うところの)宗派みたいなのがあって、○○主義というものが競いあっています。ただ、時代時代に主流というのがあって、代表的な人がその時代の寵児となりますが、また新しい考え方が出てきたりします。今日はカミュなのですが、カミュは真理の追及は取るに足らない疑問だと述べています。有名な不条理とか形而上学的反抗とかいう言葉はカミュから発せられていますが、この新書が解説してますが、よくわかりません。
20世紀論争史-現代思想の源泉と難しそうなタイトルの本に取り掛かっていますが、中身は教授と助手の会話という形になっていて、コーヒーの蘊蓄も章ごとに出てきて読みやすくなっています。20世紀の定義から始まって、哲学の巨頭の論争、科学と哲学の境界などが続きます。現代コンピュータの祖であるノイマンとチューリングの超天才の話は凄いですね。
意識(心)は存在するが、(自由)意思は存在しないのだそうだ。ピッチャーが投球して意思で持ってバットを振っても(運動生理学から見て)明らかに間に合わないのだそうだ。実験でわかったのだが、脳がバットを振ると決めて意志に反映され(たと思って)振るのだそうだ。つまり、意思で物事が決定されているのではなく、事前に決まっているということらしい。意識とは情報であり、命の本質は「情報」だという。すなわち、「意識とは情報の変動に過ぎず、自然法則に従う。自由意志はなく、全ての情報の変動(つまり行動)は環境との相互作用によって事前に決まっていることである」という。であるならばAIが意識(情報)を持つのは必然であり、脳の情報をまるのまま移植できれば、命は尽きないことになる。Androidになって危ないところにどこにでも行くことが可能だ。と著者はいうが、半分くらいは何得する(実証された部分)が半分は眉唾である。AIに意識があるのであれば、それは100万年も1億年でも存在できることであり、とっくに地球に何らかの情報が(100万光年彼方の惑星から)届いてもいいはずである。著者はこの本はトンデモ本だという。エビデンスに乏しく、すべての科学を状況証拠として扱っている点は反論も多いと思う。心理学にこういう知覚心理学というのがあるということはこの本の面白いところだった。
「未来は決まっており、自分の意志など存在しない。心理学的決定論」妹尾武治 光文社新書電子版
生命の始まりはまずRNAからというのが今のところの主流のようです。しかし、原始の海でRNAが自然発生するのは奇跡以外の何物でもないということも事実だそうです。ガラクタ置き場の上を竜巻が通ったらジャンボジェットが生まれていたというくらいのことだそうです。現実には生命は存在しているので、その源は地球だけではなく宇宙にあったというのが最近の知見です。陽子線やその他の宇宙線などによって原始の海にアミノ酸ができたという可能性です。そして、火星や準惑星ケレス、木星や土星の衛星、エウロパやエンケラデュス、タイタンなどにはメタンの海、地下の氷などがあるとされていて、そこに生命がいるかもしれないというのです。そこから地球の生命の始まりへの新たな知見がなされると言われています。自分が思うに、生命って意外と宇宙ではありふれた存在ではないかと思うのですね。地球型のDNAで出来た生命だけではなく、別の存在の仕方がある可能性も十分にあります。でも知的生命体となって地球と交信できるかというと、それはないと思いますね。地球だって人類がこのように発展しているのは、生命が生まれた奇跡と同じくらい奇跡が無いとあり得ないと思うのです。ちょっとした地球の異変や小惑星の到来などがあれば(あるいは恐竜が滅んだ小惑星がもっと小さかった)人類など生まれてこなかったと思います。宇宙の謎を探るのと同じくらい生命誕生の謎は尽きませんね。
「生命と非生命のあいだ」小林憲正 講談社ブルーバックス
地球の生命は20種類のアミノ酸で出来ています。ミラーの実験という有名な実験があって、メタンとアンモニアの気体の入ったフラスコに電撃を加えるとアミノ酸が合成されたというものです。太古の地球では雷で生命の源が発生したのではないかということで、一時は相当もてはやされたのですが、惑星科学が発展して、地球は二酸化炭素と窒素の大気だったので、そういうことはなかったということが判明したのでした。なのでどうもアミノ酸を作るような有機物は地球外からやってきたのではないかという説が有力になったのです。火星や小惑星からの隕石、彗星からの塵、宇宙塵などです。日本の惑星探査機で小惑星リュウグウにアミノ酸があることがわかりましたね。南極で発見された隕石からもアミノ酸の存在が確認されています。アミノ酸を構成する元素はありふれたものですから、条件がそろえば意外と簡単にできてしまうようです。
地球で生命誕生という奇跡がなぜ起きたのかを探る生命と非生命のあいだを引き続き読んでいます。生命科学が発展したのはやはり戦後のことです。DNAのらせん構造などが発見され、我々の体を構成する究極が見えてきたことによりますね。窒素と酸素と水素とリンをスープにしてやるとDNAが自然発生するのかというとそういうことは全くなく、仮にできたDNAが遺伝子となる過程を想像すると奇跡と言わずしてなんというと本当に思います。